保育士や幼稚園教諭の仕事に憧れながら、ハキハキとした行動力ある先生のイメージに気おくれ。自分には向いていないと思い込んでいる人も多いのではないだろうか。「物静かなおっとりとしたタイプの人も、良い保育者になれる」と話すのは、淑徳大学短期大学部こども学科長の長谷部比呂美教授。保育者育成に携わってきた長谷部先生に「保育者に求められること」を聞いた。

大切なのは子どもや保護者を支えたいという熱い思い

保育者をめざすには、子どもが好きなこと、そして温かく優しい人柄であることが大前提だ。その上でもちろん保育士や幼稚園教諭として子どもに関わるためのさまざまな専門的知識・技術の習得も欠くことができない。「ただ、知識や技術がもっとも重要であるかといえば一概にそうとは言えないところがあります」。長谷部先生によれば、保育者にとってもっとも大切なのは“学校知”(学校で教えることができる知識)だけではない。熱意を持って子どもに寛大に関わり、何か起きたときには臨機応変に考え対応することができる力だ。「大切なのは、子どもや保護者に寄り添い、支えていこうという熱意を持ち続けられること。それがなければ保育についての専門的知識だけをいくら学んでも、おそらく現場ではやっていけないと思います」

淑徳大学短期大学部こども学科長・長谷部比呂美教授

物静かな保育者にもその良さがある

保育現場には発達のかたよりが疑われる、いわゆる「気になる子ども(*)」が増えていると言われている。みんなの活動から一人離れてしまったり、突然パニックを起こしたりするそういった子どもたちにどう関わっていけばいいのか、万能となる魔法のメソッドはない。保育者にできるのは、ひとりひとりの子どものことを真剣に考え、その子なりの成長を焦らず温かい気持ちで見守ること。そうした思慮ある大人と出会えるかどうかはその子どもの一生に関わる。「ともすると、保育者に向いているのは、行動力があり元気いっぱいに子どもたちをリードできる人と思われがちですが、そうとばかりは言えません。物静かで子どもの傍らにそっと寄り添えるような人にもその人にしかない良さがあり、それは保育現場でも求められています。子どもの個性を大切にするのと同じように、保育者を目指すみなさんも自分の持ち味を大事にしてほしい。責任の重い仕事ですが、必要とされ信頼される喜びや毎日成長していく子どもたちの傍らにある喜びを実感できる、本当にやり甲斐のある仕事だと思います。いきいきと自分らしく保育の仕事に携わっていってほしいと願っています。」

*行動面,言語面,社会性・生活習慣など、いくつかの側面に困難を抱えている子どものこと。

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