思いを伝える大切さを実感したという飯田さん(学校提供)

君にエール 飯田芽生愛さん(長野西高校3年)

飯田芽生愛さん(長野西高校3年)は、父から虐待を受け、小学2年生から児童養護施設で暮らしている。施設で育つ子どもたちが希望を持てるよう活動している。

高校1年の時、経済的に困難な高校生を対象とした人材育成プログラムに参加した。東日本大震災の被災者やひとり親家庭で育った同世代と意見を交わすうちに「自分も何かできることがないか」と思い立った。主催する一般財団法人に児童養護施設の現状と課題を訴えるメールを送ったところ、広い層に適用される予定だった奨学金プログラムが児童養護施設の入所者に絞られることになり、2017年から実現した。

ほっとできる場所を

支援の内容は、大学受験にかかる費用の援助と年4度の人材育成プログラムの実施だ。「施設育ちの子どもは、大人に絶えず見守られているという実感を得にくい。実家のように、居るだけでほっとできる場所があったらいいなとメールで送りました。プログラムで同じ境遇の同世代と集まることで、物理的には存在していないけれど『居場所』を感じられました」

高校卒業後は大学進学を予定している。今後の目標は、児童養護施設の現状を多くの人に伝えると同時に、施設で育った子どもたちに、大学進学を含む自らの可能性に気付くきっかけを提供することだ。 (青木美帆)