ボランティア活動に取り組む中高生をたたえる第22回ボランティア・スピリット・アワードの全国表彰式が12月24日、東京国際フォーラムにて行われた。福島高校(福島)の生徒による取り組み「サンキュー・カンボジア・プロジェクト」を取材した。(高校生記者 志村明果)

メダルを持つ太田さん

自力で絵本を翻訳 カンボジアの子どもに届けた

団体の代表の太田朝弓さん(2年)は、東京に住むいとこと2人でプロジェクトを立ち上げ、不要になった絵本にカンボジア語の翻訳をつけて現地の子どもたちに贈呈した。

活動をまとめたポスター

始めに企画内容を記したポスターやチラシを自分たちの学校の先生を介して配布した。この活動がテレビや新聞で紹介され、1カ月で約700冊の絵本、2000枚の折り紙などが集まった。翻訳は「Google翻訳」などを利用しながら行い、100冊の絵本を完成させた。
その後、実際にカンボジアの村や孤児院などに赴き、直接現地の子どもたちと交流をした。帰国後は報告書を作成し、協力者全員に感謝を込めて送付した。

絵本に翻訳したテープを貼った

東日本大震災でカンボジアから寄付「感動し、恩返しがしたい」

この活動のきっかけは、東日本大震災の直後に地元の福島にカンボジアの貧しい農村から寄付が届けられたことだという。「その時、私たちよりも大変な暮らしを毎日しているにもかかわらず、支援をしてもらったことに感動して、私たちも何か恩返しがしたいと思いました」

カンボジア語という身近でない言語を翻訳していく上で、訳が本当に合っているのかを確認する作業が大変だったと振り返る。カンボジアは大人向けの本はあるものの、幼児用の絵本が手に取りづらい状況だという。「短い絵本や迷路の絵本などを届けました」

翻訳した幼児向けの本

今後はさらに活動を発展させ、メンバーも増やして、カンボジアの各地で移動図書館を行うことが目標だ。「例えば、子どもたちがその楽器で音楽隊を結成してチャリティーコンサートを行い、それで収入を得られるような仕組みを作ってみたいです」