東海大学健康学部の西垣景太先生に、正しいウオーキングやジョギングのやり方を教えてもらった。第3回目は、正しいフォームで歩くコツを紹介する。(構成・写真 小野哲史)

胸を張ってあごを引こう

普段から移動の手段として歩いていますから、基本的には誰でも歩くことはできると思います。ウオーキングとして考える場合は、「正しい姿勢」と「少し体に負荷をかけること」と意識します。

正しい姿勢は、猫背や顔の位置が前に行ってしまう人が多いので、「胸を張る」「あごを引く」ことがポイントになります。まず、つま先立ちで両手を頭の上で組み、ピンと伸びたところから、両手を左右の真横からゆっくり下ろしながらストンとかかとを落とします。この正しい立ち姿勢を基準として歩き始めます。横から見たときに耳や肩が体の線より前に出ないことを意識します。歩いている途中で、ガラス戸や影など、自分の姿勢を確認できるところがあれば、猫背になっていないか確認するといいでしょう。

 
 

つま先の位置に注意

足の運び方は、つま先が過度に外側に開いたり内側に向いたりしないように、かかとからまっすぐ足を着きます。幅10センチ程度の直線があると想定し、左右の足が線の外側に沿って着いていくイメージです。直線上を歩こうとすると、「モデル歩き」のような不自然な歩き方になってしまいます。

腕振りは、ひじの角度や、前に出すとか後ろに引くといった動きを意識しすぎると、肩に力が入ってしまうので、ウオーキングでは楽に、振り幅をやや大きくするくらい。あくまでも自然に振るようにしてください。

少し体に負荷をかけるには、歩く速度を上げればいいのですが、そのためには歩幅を広げる方法と、リズム(ピッチとも言います)を速くする方法があります。リズムを上げていくと、足が引っかかり歩きにくくなることもあるので、ここでは歩幅を広げる方法を採ります。歩幅を広げて(靴半足分くらいから)、腕をやや大きく振ると、いつも歩くよりも体に負荷がかかります。慣れるまでは少し息が上がるぐらいのきつさがちょうどいいでしょう。

 
にしがき・けいた 1981年、東京都生まれ。専門は運動心理学。現在は「運動経験と情動知能」や「幼少期の運動経験」に関する研究を行っている。