全国高校総体(インターハイ)陸上の女子円盤投げ決勝が8月4日に三重交通Gスポーツの杜伊勢陸上競技場で行われ、52メートル38の高校記録を持つ齋藤真希(山形・鶴岡工3年)が49メートル51で優勝。「第一人者」の貫録を見せつけ、この種目では34年ぶりとなる大会2連覇を果たした。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)

インターハイ陸上女子円盤投げで2連覇を果たした齋藤真希

世界選手権より緊張

2連覇という快挙を成し遂げたにもかかわらず、戦いを終えた直後の齋藤の表情は冴えなかった。「記録を狙っていたので、とってもとっても悔しい。残念です。連覇できた喜び

は2割ぐらいです」

4月に高校新記録を樹立すると、6月の日本選手権では51メートル42をマークし、大学生や実業団選手といった強豪を破って日本チャンピオンとなった。7月にはU20世界選手権に出場し、8位入賞。周囲は「インターハイは勝って当然」と見る。齋藤自身もそう考えていたが、それが少なからず「プレッシャーになっていた」ことを明かす。

「世界大会は海外の知らない選手との戦いなので思い切りできますが、インターハイは知っている選手が多いし、その中で勝たなければいけない。インターハイの方が緊張します」

インターハイ陸上女子円盤投げで2連覇を果たした齋藤真希

記録更新はならず、視線は「次」に

それでも47メートル89を投げた1投目で2位以下に4メートル以上の大差をつけて早々に勝利を決定的にし、5投目に49メートル42、6投目に49メートル51と記録を伸ばして大会記録(49メートル15)も上回った。しかし、高校記録でもある自己ベスト更新、さらにはU20日本記録(54メートル12)も視野に入っていただけに、優勝記録に納得できないのも当然だったかもしれない。「もっと前半から良い記録を出して、後半に入りたかった」
調子自体は「絶好調とは言えないまでも、まずまずだった」という。ただ、「風」という敵が齋藤の前に立ちはだかった。「向かい風だと円盤が浮いてくれるのですが、今日は追い風で円盤が押されて進んでしまう。最初の方はあまり気にならなかったけれど、円盤投げにはちょっと適さない風でした」

試合後、菅原稔コーチから「『このままじゃ帰れないぞ』と喝を入れられました」と苦笑いを浮かべた齋藤。今後は「まずは国体で少なくとも今回より良い記録で優勝したい」と誓い、「帰って投げ込みをやります」と、次なる戦いに視線を向けていた。