今年6月、大阪北部を襲った大きな地震。災害は、いつ、どこで起こるか予想がつかない。7年前の2011年に震災に見舞われた東北地域では、さまざまな組織や人々が災害対策、復興への取り組みを進めている。

大学コンソーシアムという言葉を聞いたことはあるだろうか? これは、ある同一地域内にある複数の大学が、地域社会や産業界との連携を目指すことなどを目的とし活動する組織のこと。現在、全国に50近くのコンソーシアムがあり、その多くで、コンソーシアム内の他大学で修得した授業科目の単位を自大学の単位として修得したものとみなす「単位互換制度」を導入している。今回は岩手県内の10大学・短大・高専が加盟する「いわて高等教育コンソーシアム」の取り組みを紹介する。

岩手大学・岩手県立大学・岩手県立大学盛岡短期大学部・岩手県立大学宮古短期大学部・岩手医科大学・富士大学・盛岡大学・盛岡大学短期大学部・一関工業高等専門学校・放送大学岩手学習センターの10大学・短大・高専が加盟するいわて高等教育コンソーシアムは、2011年以降、「岩手の復興を人材育成から、今こそ連携の力で」をスローガンに、震災復興を担う地域の中核的人材の育成と被災地の復興に貢献する取り組みを進めている。現在、この復興への取り組みはコンソーシアムの中心的な活動として継続しており、3年前からは「地域リーダー育成プログラム」へと発展。各大学に所属する学生たちは、プログラムに参加し、岩手県の災害対策や復興支援について沿岸被災地などに足を運びながら学ぶことができる。

では、加盟大学で学ぶ学生たちは、災害対策や復興についてどのようなことを学んでいるのだろうか。近年の取り組み事例を紹介しよう。

事例1 さんてつ活用推進チーム

 2016年度から活動を開始。「三陸鉄道の有効利用」をテーマに掲げ、活動を行っている。その内容は、イベントでの物品販売の補助やPR 活動、各駅の周辺で行われる環境整備作業等の支援。2018 年3月には、三陸鉄道の駅周辺のスポットをまとめた「さんてつ魅力再発見MAP」を製作、発行した。
 
 
 
 
 

事例2 高校生と大学生が共に学ぶワークショップ

 3月10日に行われた「平成29年度復興地の高校生とコンソーシアム連携校の学生がともに学ぶワークショップ」では、県北地域から48名の高校生と、連携校である岩手大学・岩手県立大学の大学生8名が参加。地域の隠れた魅力を発見し、広くPRする方法についてグループワークが行われた。
 

「いわて高等教育コンソーシアム」のほか、宮城県の「学都仙台コンソーシアム」、福島県の「アカデミア・コンソーシアムふくしま」でも、災害や復興をテーマにした学びを加盟大学内で提供している。コンソーシアムに注目すれば単位互換制度を利用して他大学の学びも受けることができる。とくに東北の各県は、災害や復興をテーマにした地域単位での教育に力を入れているので、進学先選びの参考にするとよいだろう。