白河実業高校(福島)機械科は昨年度、3年生が課題研究で学んだ知識や技術を生かして、地域で使う「ごみ回収ボックス」を製作し、自治体に贈った。

完成したごみ回収ボックスを設置した6人(学校提供)

住民を訪ねてニーズ探る

「想(おも)いよとどけ! 地域の人へ!」と銘打った課題研究に取り組んだのは、浦井正二君ら6人。地元のごみ集積所が小動物やカラスに荒らされて住民が困っていることから、荒らされにくいごみ回収ボックスを製作した。購入するとしたら、20万~30万円はするという。

6人は研究を始めるに当たって、あらためて住民を訪ねて要望を聞いた。「現在使用しているボックスは、ごみが多いと入りきらない」「小動物の被害を受ける」「開閉時に扉が道路に出てしまう」「扉とごみ箱を固定している部分が外しづらい」。こんな声を受け、設置場所に合ったサイズを割り出し、高齢者も簡単に開閉できるようカーテン式の扉にすることや、小動物対策に金網を使うことなどを決めた。

地域のニーズに応えるごみ回収ボックスが完成した

機械科で学んだ技術を駆使

ボックスの骨組みには「L字アングル」を使い、授業で習った切断や溶接の技術を駆使して製作。サイズが大きく立体的な製作物のため、強度を増すよう工夫した。放課後の時間も使って取り組んだ。設置場所にぴったり収まり、従来サイズの2倍に当たる幅1.87メートル、奥行き1メートル、高さ1.5メートル(地上部は1メートル)のごみ回収ボックスが完成し、2つの自治会に設置した。

6人はこの課題研究で、県内の高校生を対象とした「社会貢献活動コンテスト」(ふくしま学びのネットワーク主催)で優秀賞を受賞した。浦井君は「住民の方の『困り事』を、生の声を聞くことで知り、ニーズに合った貢献をすることが大事と学んだ」と話している。