高校生に知ってほしい、正しい勉強方法の基本について、家庭教師や塾経営を経て参考書などを多数執筆している船登惟希さんに教えてもらった。

問題演習の時間が取れなくなるから

中学時代、塾に通っていた人も多いでしょう。しかし、高校では塾に行っただけではどうにもなりません。むしろ塾に頼りすぎる人は伸び悩むことすらあります。一体、なぜでしょうか?

中学校では勉強する内容が少なく、時間にも余裕があったため、塾ですべて教えてもらうことができました。塾の中で十分な問題演習をすることもできたでしょう。要は、塾に行っている時間だけの勉強でもなんとかなったのです。

一方、高校生になると勉強量が格段に増えるため、塾ですべてを教えてもらうことは不可能になります。その結果、知識に穴ができるか、大量の予習復習の課題が与えられて消化不良のままになってしまうケースが多いです。消化できないのは、自分で問題を解いて知識や解き方を定着させる時間を作らないから。高校の勉強では、できるだけ多くの出題されうる問題(問題集に載っている問題)を自力で解けるようになることが重要なのです。 

このように、塾に行くことで問題を解く時間が減り、かえって成績が悪くなってしまう…なんていうことが高校では起こりうるのです。「塾に通っているのに、高校生になって急に成績が伸びなくなった」という人が多いのは、こういうところに原因があります。結局、自分で勉強する時間がどれだけ確保できるかが大事なのです。

船登惟希(ふなと・よしあき) 東京大学理学部化学科卒業。学習参考書などを多数執筆。著書に「高校一冊目の参考書」(KADOKAWA)など。
 
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