人工衛星を高校生の手で宇宙に打ち上げる――。茨木工科高校(大阪)宇宙科学技術研究開発部(SST.R&D)の目標だ。全国工業高等学校長協会の100周年記念事業「高校生による小型人工衛星打ち上げプロジェクト」に参加し、宇宙環境でも確実に作動する電源系システムの研究開発を3年生が担当する。人工衛星は来年度の打ち上げを目指している。(文・写真 木和田志乃)

ロケットや缶サットなどを持って並ぶ宇宙科学技術研究開発部の部員たち

「缶サット」で技術学ぶ

本物の衛星につながるシステムを学ぶために同部が力を入れるのは「缶サット甲子園」への出場だ。自作した空き缶サイズの模擬人工衛星「缶サット」をロケットに搭載して打ち上げ、自ら設定した動作や働きを遂行させて技術力や創造力を競う大会だ。1年生はまず、空気の力と水の勢いで飛ぶ水ロケットの製作を通じてロケットの仕組みを理解し、7月の地方大会に向けて火薬ロケットを作る。2年生は1年間かけて大阪府立大学と連携して共同実験を行い、指導を受けながら缶サットを製作する。

JAXA主催の大会にエントリーする水ロケットを製作。尾翼の形など試行錯誤を重ねる

トラブルを検証し次に生かす

同部は2014、16年に全国大会出場を果たした一方、失敗も重ねた。昨年は打ち上げ時に缶サットとパラシュートをつなぐ糸が燃え、缶サットは減速せずに落下した。原因は火力の強さの確認不足だ。過去のトラブルを検証してチェックシートに記入し、同じミスをしないように工夫している。

今年は、月や惑星での利用を念頭に、着地後に走行するカメラ付きローバー型缶サットを搭載する。大城尚輝君(2年)は「走行を成功させて全国大会に行きたい」と意気込んでいる。

昨年搭載した缶サット。プラスチックやラミネート、3Dプリンタで作ったパーツで制作

忍耐力も話す力も身に付く

新入生向けの部活動説明会の短い時間では多岐にわたる活動内容が伝わらないためか、部員は11人と少ない。しかし、部長の松尾竜矢君(3年)は「自分で手を加えたプログラムが動くのはおもしろい。分からないままにしない粘り強さや忍耐力も付いた」。坂本和海君(3年)も「研究成果を発表する機会が多いので話す力が身に付いた」と部の魅力をアピールする。