小説家はどんな生活をしているんだろう。小説家になるには高校時代から何を意識すればいいんだろう。少女向け小説や人気ゲーム「ドラゴンクエスト」のノベライズなど、数多くの作品を世に生み出した久美沙織さんに高校生記者2人がインタビューした。

久美さん(中央)と高校生記者の増田さん(左)と金子さん

体力の限界まで書き続け

――1日のスケジュールは?

一番忙しかった時は目が覚めたらパソコンに向かって、体力の限界まで書き続けて倒れるように寝る。トイレやお風呂はどうしても我慢できなくなったときだけで、ご飯が(家に)ないことに気づいたときは担当(編集者)に泣きついて持ってきてもらったときもありました。

――アイデアはどのように浮かびますか?

天から降ってくるんです。24時間アンテナを立てています。でも、全方位に立てても雑音ばかり入ってきてしまうので、何かやりたいテーマなどを持っておくと、それに近いアイデアが思い浮かぶこともあります。

――書く上で心掛けていることは?

うーん、強いていうなら「諦めないこと」かな。何を作るにしても、どこを完成とするかが難しいのね。完璧までできないと分かっていても努力を出し惜しみせず「より良いもの」へ頑張る気持ちが大切です。

日常から一歩踏み出そう

――小説家になるためには高校時代に何をすれば良いでしょうか。

まず、小説家ってなるものじゃないの。小説を書いたら、なってるから。すべきことは苦労。苦労しないのって幸せだけど、ぽーっとして過ぎちゃうよね。苦労って面白いよ。高校と家の往復を繰り返す日々を抜け出してみる。要するに何も考えなくても行動できる
範ちゅうから一歩踏み出てみること。このくらいのことで大丈夫。

時間を濃密にしよう

――小説家に必要なのは?

書くことが好きな気持ちです。書くことが好きじゃない人に物語を出せって言っても出てこないものです。好きであれば自然と次々に出てきちゃいます。

――高校生にメッセージをお願いします。

与えられた時間はみんな24時間。それをどれだけの濃度にするかが重要です。リラックスももちろん必要だけど、われに返って「私が猫じゃらしを振る側になるんだ」って思い出すことが大事なことかもしれないです。 (増田り子・2年)

【くみ・さおり】盛岡第一高校、上智大学文学部哲学科卒。1979年デビュー。「丘の家のミッキー」シリーズなど少女小説を中心にSF、ホラー、ミステリー、エッセーなど、 多彩なジャンルで活動。