大学入試センターは、現行のセンター試験の後継として2020年度(21年1月)から実施する「大学入学共通テスト」の英語のプレテスト(試行調査)を2月13日から始めた。全国の158校で高校2年生が受ける。プレテストの問題は現行試験と同様にマーク式だが、「実際のコミュニケーションを想定した明確な場面」などを重視するとして、センター試験とは筆記(リーディング)・聞き取り(リスニング)試験とも問題構成を大幅に変えた。結果を検証して本番の問題を検討するという。

158校の6720人が対象

プレテストは47都道府県の高校158校(公立94校、私立60校、国立4校)の2年生が受ける。大学入試センターが集計する正式な調査対象は6720人で、1校あたり1クラス程度だが、学校が希望し学年全員に受けさせるケースもあるという。プレテストは3月3日まで各校で順次実施され、問題は3月中旬に公表される。

発音・語句整序などは出題せず

昨年11月に実施された国語など他教科のプレテストでは、現行試験から構成が大きく変わった。今回の英語もだいぶ変わりそうだ。大学入試センターが事前に公表した「出題のねらい」によると、「実際のコミュニケーションを想定した明確な場面、目的、状況の設定を重視する」という。具体的には、筆記試験では「テキストを読み事実や意見等を整理する力、テキストの構成を理解する力、テキストの内容を理解して要約する力等を問う」としている。一方、センター試験で長年出題されている発音、アクセント、語句整序などの問題は「出題されません」と明言している。

大学入学共通テストの英語のプレテスト(試行調査)の問題冊子。聞き取り試験は、読み上げ回数と問題量が異なる2パターンの問題を用意した(2月13日、東京都立井草高校)

リスニング「1回読み」も

リスニング試験は「複数の情報を比較して判断する力や、議論を聞いて要点を把握する力等を問う」という。音声の流し方も変えた。センター試験では、問題音声が2回読み上げられているが、プレテストでは受験者を2グループに分け、片方のグループは全ての問題を2回読み上げ、もう片方では一部の問題を1回だけ読み上げて結果を検証する。また、現行試験と異なり、アメリカ英語以外のイギリス人による英語や、英語を母語としない人による読み上げも試行される。筆記、聞き取りとも「(問題内容を)本番でどうするかの結論は決まっておらず、試行調査の分析結果次第」(大学入試センター)という。

生徒「ネーティブの発音に慣れないと」「内容理解を」

東京都立井草高校で13日にあったリスニングのプレテストを受けた同校の女子生徒は「今までになかった形式があった」としつつも「授業でも英検などでもリスニングはある」と戸惑いはあまりなかった様子。同校の別の男子生徒は「今までに練習してきた問題比べ、速度もあまり変わらなかった」と話した。2人は英語が得意で、英検2級という。

音声を流す回数について2人は「2回流すのがいい。1回だと、周りが咳をしたときなどに聴けない」(女子生徒)、「2回流したほうが、焦ったときも確実に理解して解ける」(男子生徒)と「2回読み」を求めた。新テストを受ける人へのアドバイスを聞くと「ネーティブの発音に慣れないと聞き取れない。単語も分からないと」(女子生徒)、「今までの試験は単語から答えを導けたが、今回は内容を理解していないと解けない。内容を理解する聞き取りの練習をしていると、本番でも失敗しないと思う」と語った。

大学入学共通テストの英語のプレテスト(試行調査)が全国の高校で行われる(2月13日、東京都立井草高校)

大学入試の英語、2段階で改革

文部科学省は、新テストの英語を2段階で改革する。20年度から大学入試センターで作成する英語の問題を刷新。あわせて、英語4技能(聞く・読む・書く・話す)を測る民間の資格・検定試験を受験生に受けてもらい、結果を各大学の入試に活用できるしくみを導入する。24年度からは、センターが作成する英語試験はとりやめ、民間試験の利用に一本化する方針だが、大学や高校の関係者からはセンターによる出題をやめないよう求める声が出ている。(西健太郎)