個人総合を制した五十嵐遥菜

第31回全国高校新体操選抜大会の個人総合が3月20日、長野・真島総合スポーツアリーナで行われ、女子は五十嵐遥菜(茨城・常磐大高1年)が制した。決して恵まれているとはいえない練習環境の中、自ら研究を重ねた日々が実を結んだ。
(文・椎名桂子、写真・清水綾子)=学年は開催時

五十嵐はジュニア時代から今まで、週1、2回しかコーチがいない環境で練習を続けてきた。新体操の強豪校の多くは専用のフロアマットを持っているが、五十嵐は体育施設を転々としながら練習をしている。マットに上がるのは、ほぼ試合のときだけだ。

今大会では4種目合計59.550で2位に3.050差をつけての圧勝。4種目全て1位という完全優勝を成し遂げた。「去年は試合でミスが出ることが多く、つらい時期もあった。出られただけでもうれしかった選抜で優勝までできてびっくりしている」と言う。

今大会が初披露となったクラブの新作演技では、高校生としては背伸びした印象の曲を使っている。隙間なく手具を動かしながら難しい表現にも挑戦しており、「この作品をすごいものにしたい」(五十嵐)という意欲で取り組んできた。「人と違うことをやりたい、埋もれたくない」という思いが、個性的な演技の源にある。

ジュニア時代から指導する比企野智子コーチは、五十嵐の良さを「自分で研究する力を持っているところ。どうやったら、できない技ができるようになるか、理屈で考えながらアプローチできる」と評する。だからこそ、コーチ不在の自主練の時間も有効に使い、演技をレベルアップできたのだ。

【いがらし・はるな 】
1999年4月25日、茨城県生まれ。水戸・双葉台中出身。小学2年生から競技を始める。NOVA新体操クラブ所属。2014年アジアジュニア日本代表。158センチ、45キロ。