写真を拡大 数匹の大蛇が絡み合う

第41回全国高校総合文化祭(みやぎ総文2017)の郷土芸能部門が8月2~4日、名取市文化会館で開かれた。広島・加計高校芸北分校の神楽部は、古事記の「八岐大蛇(やまたのおろち)」を神楽化した演目を披露。鮮やかな大蛇の舞で会場を湧かせた。文化庁長官賞・優秀賞に輝き、4日の部門大会で表彰された。(文・写真 野村麻里子)

8メートルの衣装を華麗に操る

演目「八岐大蛇」で、須佐之男命(すさのおのみこと)が大蛇(だいじゃ)を剣で退治するシーンをダイナミックに演じた。大蛇が演舞したり、須佐之男命が大蛇の首を捕ったりすると、会場から大きな拍手が送られた。
 最後に須佐之男命に退治される白い大蛇役は、一番上手な部員が演じることができ、オーディションで決まる。今回この大役を務めたのは、山本誠君(2年)で、部長の伊屋ヶ迫昂明君(3年)から役を引き継いだ。「選んでもらった期待に応えようと思っています」と話した。大蛇を表現した蛇胴と呼ばれる衣装は8メートルもあり、体に巻き付けるようにして身にまとう。「体を見せず、一つ一つの技にキレを出すことを心掛けています」(山本君)

一番上手な部員が演じられる大蛇役の山本誠君
山本君演じる大蛇が首を狩られるシーン

神楽は日本人の心を学べる

同校のある広島県北広島町は数多くの神楽団があり、部員たちは幼少より自然と神楽に親しんできた。部員は全員ほかの部活を掛け持ちしながら、週4日、放課後に活動。先輩部員が後輩に教えるほか、地域の神楽団員からも指導を受けている。
 伊屋ヶ迫君は、神楽をしていた祖父に憧れて中学から始めた。首の角度や腕を上げるスピードなど、細部の一つ一つの動作で「うまい、下手が分かれる」のが難しく、奥深いという。「神楽は伝統芸能でもあるが神事でもある。日本の神様と一緒に生活してきた日本人の心というものを改めて学ぶことができます」(伊屋ヶ迫君)

部長の伊屋ヶ迫昂明君