兵庫・芦屋国際中等教育学校の生徒2人が、11月16、17日に東京・国連大学で開かれた第7回全日本高校模擬国連大会に初出場した。灘高校(兵庫)、大阪教育大学附属高校池田校舎(大阪)などの常連校に交じって奮闘した、県立校の生徒の姿を追った。 (坂祐三)

ロシア代表大使として参加

「模擬国連」は、2人1組の参加チームが国連加盟国の模擬大使として出席。実際に国連で扱われる議題について議論し、代表各国との交渉を経て英語で書いた決議案を提出し、投票で採択される。芦屋国際中等教育学校からは、御幡アルバート武嗣君と松村レオナルド大地君の5年次生コンビが出場した。

大会のテーマは、国際的に長年重要な問題と認識されている「児童労働」で、2人は第1希望国として選択した「ロシア代表(大使)」として、約60カ国の代表国とともに解決への決議案を作成した。

 

学校で同じ英語クラスに所属する2人は、ともに日本と米国の国籍を持つ。御幡君が「将来、国際的な仕事をしたいので、何かの糧になると思って」と、松村君を誘って出場した。大会に向け、独自のリサーチをしているうちに、「どんどんのめり込んでいってしまった」という。

英語で決議案まとめる

大会出場への選考は、課題図書の共同リポートなど書類審査だった。全国から103校、165チームの応募があり、2人は全日本大会に出場する65チームに勝ち残った。

11月3日に灘高校で行われた練習会にオブザーバーとして参加。「白熱した議論に圧倒された」と担当の岩見理華先生。少し不安な気持ちを持ちながら臨んだ全国大会だが2人は奮闘した。1日目は昼食抜きで協力国との交渉にあたり、宿舎に戻って英語の修正案作成には朝方まで時間を費やした。2日目には最終的に3つの決議案が採択された。

「論理的思考や思考の過程での自己矛盾の発見の重要さを痛感した」と振り返る御幡君。「これを突破口にして後輩たちにも国際問題を真剣に考え、議論する機会をもってほしい」と松村君。グローバルな今回の体験を後輩に伝えていくつもりだ。

模擬国連大学生対象の模擬国連は20年以上の歴史がある。高校生による模擬国連は2007年、日本代表団の国際大会派遣を皮切りに始まった。今回は6チームがニューヨークでの国連国際大会に派遣される。