新体操男子団体で優勝した青森山田(8月8日、大阪市中央体育館=清水綾子撮影)

新体操強豪校・青森山田(青森)の全国高校総体(インターハイ)男子団体優勝は、2012年の福井大会以来。3年ぶりではあるが、12度目。決して珍しいことではない。しかし、今回はいつもの優勝とは違う意味があった。

昨年の全国高校総体で青森山田は10位だった。いくつかのミスはあったが、それ以上にほかのチームの底上げがあり、かつてない順位まで沈んでしまったのだ。

■強豪復活、どよめく観客

さすがの青森山田もここからはい上がるのは難しいかと思われたが、そこは伝統校。3月の全国高校選抜で準優勝、5月の団体選手権で優勝と見事な復活ぶりを見せつけた。昨年の悪夢を払しょくすべく臨んだ今大会でも、青森山田はフロアへの入場から堂々としていた。その姿に会場がどよめき、ポーズをとると観客は期待に満ちた視線を注ぎ、静まり返った。

前回優勝の12年、その前に優勝した09年の青森山田の演技は、男子新体操界に新しい流れを作るものだった。ダンス的な動きやステップをちりばめた当時の演技は「青森山田ならでは」と評価されてきた。しかし、今回はそのころとはまったく違う男子新体操の原点に戻ったようなスポーツらしい演技で優勝を勝ち取った。

■努力で結果は変えられる 

「自分はジュニアでの実績がなかったので、入学当時はジュニアから活躍していた選手との差を感じましたが、努力を続けることで結果は変えられることを学びました」と濱谷航至(3年)は胸を張る。一時期は県外出身のスター選手が多いことを批判されたこともあったが、今回のメンバーは6人中5人が東北出身(うち2人が青森県出身)と、地元色の強い布陣だったこと、濱谷のように高校で伸びた選手がいたことからも、今までとは違う青森山田の強さが感じられる優勝だった。(椎名桂子)