聴いた人を元気にする、和太鼓欅の演奏

和太鼓の力強い演奏で見る者をとりこにする、埼玉・城西大学付属川越高校「和太鼓欅(けやき)」。部活ではなく生徒会役員が中心となって活動する有志団体だ。現在は尺八の演奏も始め、生徒会活動の傍ら、年間40を超える地域イベントなどに参加している。(文・写真 青木美帆)

聴く人を元気にする音色

4月26日、埼玉県川越市の介護老人保健施設で「和太鼓欅」の演奏会があった。勇猛な和太鼓で3曲、しみじみ聴かせる尺八で5曲。尺八の演奏では、約70人のお年寄りが「ふるさと」「こいのぼり」などの童謡を口ずさんだ。「太鼓の音に元気をもらった」と入所者の男性。およそ1時間の演奏会が終了すると、大きな拍手が湧いた。

和太鼓欅は2005年、「校外活動で学校をアピールしたい」と当時の生徒会役員が提案し、発足した。以来、生徒会役員と有志で構成される有志団体として活動を続ける。08年からは尺八の演奏も加わった。

演奏は体で覚える

尺八にも取り組む

県内の高校和太鼓チームのうち、男子校は同校のみ。生徒会長の松本健君(3年)は「男子ならではの力強さと迫力で勝負しています」と胸を張る。練習は月曜日から土曜日までみっちり。正確なテンポでリズムと強弱を刻む「基礎打ち」を欠かさない。楽譜を使わず、上級生の演奏を、下級生が少しずつ体に染み込ませていくのが伝統だ。
 メンバーの手のひらは、いつもまめだらけ。尺八はコツをつかむまで2~3カ月は音が鳴らない。浅山貴大君(3年)は「運動部と同じか、それ以上にハードに練習しています」と言う。
 7月に茨城で開かれる全国高校総合文化祭へ出場する。「鳥肌が立つような感動を伝えたい」(松本君)、「見ている人に楽しんでもらえる演奏を」(浅山君)と抱負を語る。
 

部活データ
 
2005年発足。メンバーは21人(3年生7人、2年生6人、1年生8人)。併設中学の生徒も公演に一緒に参加する。10年に全国高校総合文化祭に初出場。