制限時間内に交渉をまとめようと話し合う高校生大使たち

スウェーデン大使に

 会議は2日にわたって開かれ、各国が政策をスピーチした。時には、議場を駆け回って異なる立場の国と交渉する場面もあった。途中の交渉では日本語が許されるが、スピーチなど公式の場では英語を使う。

 スウェーデン大使として会議に参加することを希望した私たち2人のペア(東京・渋谷教育学園渋谷高校A)は、9月から準備を始めた。インターネットや本でスウェーデンの移民政策や問題点などを調べ、移民が受け入れ国の社会に溶け込むための基金を設立するプランを事前課題の「ポジション&ポリシーペーパー」にまとめた。

交渉で成功するコツは?

 本番では「ほかの大使の意見を尊重する」ことを特に大事にした。仮に自分の考えを押し通して決議案を書いたとしても、国際社会で支持されないし、何よりスウェーデン大使としての信用を失うからだ。

 全く異なる政策を提示する他国の大使には「方法が違うだけで目指す先は同じだ」と強調し、相手の説明に既に知っていることがあっても遮らずに聞いた。その結果、12カ国で決議案を作成・提出し、ほかの国の賛成を得て採択に成功した。

 模擬国連では、国際問題を深く考える経験に加え、「笑顔で話すと交渉がスムーズになる」「声を張り上げるだけでは人は集まらない」という気付きも得られた。ペアと意見が割れるなど大変なこともあったが、その分、大きく成長できたと思う。


 模擬国連  参加者が国連加盟国の大使として会議を行い、国際問題を学ぶ。日本では2007年から高校生対象の模擬国連大会が始まった。最優秀賞と優秀賞に選ばれた6チーム12人は、来年5月に米国ニューヨークで開かれる高校模擬国連国際大会に派遣される。