シンガポールの中学校で現地の生徒とディスカッション(学校提供)

 

東京・富士見丘高校の神田涼さん、安田裟英さん、深尾夢実さん(ともに3年)は1月、フィールドワークでシンガポールに行った。中学校で現地の生徒とディスカッションをしたり、教育庁で話を聞いたりする中で、日本人の英語力を上げる方法を考えた。(文・写真 野村麻里子)

シンガポールからヒント

3人は昨年10月、文部科学省を訪問し、CEFR(セファール)(語学力を測る国際基準規格)で日本はレベルが低いと知った。日本の英語教育の何を変えるべきか。神田さんは「同じ島国でも英語力が高いシンガポールからヒントを得ることにしました」という。

シンガポールでは、トップレベルの女子中学校で3年生の授業を体験。日本の教育についてディスカッションをしたが、全員がパソコンを持ち、質問や発言が止まらない様子に驚いた。「使っている教科書は文字で埋め尽くされ、内容も日本の大学受験レベルでした」(安田さん)

また、教育庁を訪問し、英語を公用語にしてからの変化など教育史を学んだ。

幼いころから英会話を

シンガポールでの経験から「文法や読解だけでなく、もっと英語を話す機会が必要」と感じ、成長段階ごとに英語に触れられる教育を考えた。まず、未就学児がフィリピンなど発展途上国の人とオンラインで英会話ができる環境づくりを考案。発展途上国に雇用が生まれるメリットもあるという。小中学校時代は、英語で自分の好きなことを発表する授業の導入や自分のレベルに合った英語本の読書、高校時代は英語で自己表現する力を育てるために、英語で小説などを読んで感想文を書いたり、模擬国連活動をもっと盛んに行ったりすることを提案した。

3人はSGH甲子園(3月、関西学院大学など主催)の英語プレゼンで優秀賞と審査員特別賞を受賞し、7月開催の国際コンテストへの出場権を得た。「研究を深めるため、非英語圏の英語教育も調べる予定です」(深尾さん)

英語教育について研究した左から神田さん、安田さん、深尾さん
【学校DATA】
2015年度にSGH指定。「サステナビリティーから創造するグローバル社会」をテーマに、高大連携授業、教科横断型授業を実施する。