明治大学バイオリソース研究国際インスティテュート(MUIIBR)では、所長の長嶋比呂志教授(農学部)主導のもと、アニマル・バイオテクノロジーを基盤とした研究を行っている。

ブタの研究からヒトの病気の仕組みや治療法を探り、臓器再生・移植の研究に発展

「アニマル・バイオテクノロジーとは、動物の生産にかかわる学問を食料生産や医療など、多様な分野に応用する技術の総称です。私たちMUIIBRでは、ブタを用いた研究からヒトの病気の仕組みや治療法を探ってきました。それらの研究を土台に、最近では、消化管の構造や生理学的な特徴がヒトと非常に近いといわれるブタの臓器や組織を、臓器移植医療に利用する研究を行っています」と長嶋教授は話す。

MUIIBRの研究テーマは大きく2つあり、その1つ目が糖尿病の治療だ。
「糖尿病の治療には膵島(ランゲルハンス島)というインスリンをつくる組織の移植が有効となりますが、臓器提供者が少ないという問題がありました。そこで着目したのが、ブタの利用です。

現在は、より安全に人間の体内へ移植できるよう、異種動物の臓器移植の際に起こる拒絶反応を抑えるための技術を模索中の段階。たとえば、臓器を免疫隔離膜で覆った状態で移植したり、遺伝子の操作によって拒絶反応が低い臓器を持つブタをつくり出すなど、さまざまな開発を行っています」

もうひとつの研究テーマが腎不全の治療だ。腎不全とは、腎臓の機能が低下し、体内から老廃物が排泄できなくなってしまう病気のこと。腎不全が進むと必要になる「人工透析」は、患者自身の生活や国の医療経済にとって大きな負担となっているのが現状だ。

「そのため、腎臓移植が必要になりますが、他の臓器と同様に、なかなか実現していません。そこでMUIIBRでは、ブタの胎仔の腎臓とヒトiPS細胞を利用する腎臓再生技術の開発を実施。この技術は、死因の3割が腎不全であるネコの治療にも応用できる可能性があります」と長嶋教授。

長嶋比呂志教授
 
 
 

 

医学部でなくても医療の進歩に貢献できる

「明治大学では、大学の枠を越えた取り組みを推進し、大学発の企業を支援する体制があります。MUIIBRの研究成果の実用化を目標に、再生医療および異種移植事業を扱う会社を2017年に設立し、異種動物の臓器移植を社会全体に普及させることを目指しています。今後は、臨床研究や治験を経て、実際の診療で扱う臨床応用へとステップアップしていく予定です」

最後に長嶋教授は、高校生に向けて次のようなメッセージを贈ってくれた。
「私たちの研究のように、あらゆる可能性に着目することで、医学部でなくても医療の進歩に貢献することができます。何よりも大切なのは、病に苦しむ人を救済したいという思い。すべての研究が社会貢献へとつながっているのです」

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