中学生の部 優秀賞
想いよ届け
高松市立山田中学校2年 三﨑 永遠

中学二年生になった四月から六月の間も新型コロナのため自宅での自粛が続いた。時間 がたくさんあったので、いつもは見ることのないホームビデオを見ていると、七歳の時に家族で行ったカンボジアの映像が出てきた。そこではまだ小さい僕が現地の同じぐらいの 年の子と紙飛行機を飛ばし合いながら遊んでいた。現地の子どもと遊んだ記憶は少しあったが、実際に当時の映像をみて、いくつか気がついたことがあった。その二人の子は裸足 、空のペットボトルが入った袋を持っていた。そして来ている服も汚れている。学校には行っていないのだろうか。そこには一緒に遊ぶ無邪気な僕がいたが、あれから七年ぐらい経っており、自粛期間中の時間を利用してカンボジアについていろいろと調べてみた。 カンボジアの貧困の現状、内戦があった歴史など。今日本で何不自由なく暮らしている僕 だが、この時一緒に遊んだカンボジアの子どもたちは今何をしているのだろう。

三年ほど前から地域の活動としてフィリピンの恵まれない子どもたちに日本で使わなくなった文房具や生活用品を送る国際ボランティアをしている。自粛期間中には友達と協力して、古着を切ってミシンで縫い、自分たちで作ったマスクを送ろうと多くのマスクを製作した。今はそのマスクをカンボジアの子どもたちに送りたいと活動している最中である。 古着を切って作ったマスクは、七年前カンボジアに行った時に、僕が着ていた服であった。 もう小さすぎて着ることはできないが、まさかこのタイミングで自分が作ったマスクとし て再びカンボジアに行くことになろうとはビデオを見るまで気がつかなかった。新型コロ ナ感染拡大の今の状況では簡単に海外に行けなくなった。しかし、僕が作ったマスクがカ ンボジアに届き、あの時一緒に遊んだ子どもたちの手に届くようなことがあるとしたら、 世界とつながれるような気がしてならない。今回自粛期間を利用して作ったマスクが少し でもカンボジアの人の健康に役立つことを願う。

今カンボジアの新型コロナ感染者数を調べてみると三百人ほどである。フィリピンでは 二十万人以上の感染者が出ていることを考えると不思議である。検査を受けることができ ていないのではないか。学校にも行けない子どもたちがもし新型コロナに感染したらきち んとした治療が受けられるのか。あの一緒に紙飛行機を飛ばした子どもたちは元気に過ご しているだろうか。いろんなことを考えながら、僕は今学校に行けていることに感謝し、 マスク着用や体温を毎朝計る新しい日常生活をもっと大事にしなければならないと思った。

いつか近いうちに僕たちが製作したマスクを持って、今度は少し大人になった僕がカン ボジアを訪問し、そして現地の人にマスクを配っていきたい。同じ地球に住む者として、そして一緒に未来を作って行く仲間として、健康を大切に、ともに生きていきたい。