中学生の部 外務大臣賞
たこ焼きには「世界」が詰まっていた!
関西創価中学校2年 武田 美紀子

「今夜は、たこ焼きパーティー!」

これは私の住む大阪では、多くの家庭でよく聞く表現で、端的に言うと、たこ焼きを、みんなで焼いて晩ご飯にするということだ。

「粉もの文化」と表現される大阪の食文化。中でも「たこ焼き」は、ソウルフードとも表現される大阪府民の一押しの食べ物だ。

私の父は、関東地方の出身なので、一家に一台「たこ焼き器」が備えられている大阪の 「普通」には、とても驚いたらしい。そんな父も大阪に暮らすこと三十年、今では「たこ 焼きパーティー」の一番のファンだ。

先日、家族でたこ焼きを作っていた時に、何気なく父が言った一言に私はとても驚いた。 「たこ焼きの材料の中で、食糧自給率百パーセントは、青のりくらいやで!たこ焼きは、世界に支えられているっていうことやな!」

大阪名物「たこ焼き」が、世界の国とのつながりの中で、作られていることに興味を持 った私は、さっそく調べてみることにした。

いろいろな資料で調べると、「ソース」・「小麦粉」などのたこ焼きの材料で、自給率百パ ーセントは、青のりくらいだ。主役のタコについて更に詳しく調べてみることにした。

タコは国内の漁港でたくさん水揚げされている。でも、国内産のものは値段がすごく高い。実際に近所のスーパーで、その違いを調べてみると外国産と国産では、百グラム当たり百円もの値段差があった。明石産のタコなどは、高級食材の扱いになっている。外国産のものは「モロッコ産」や「モーリタニア産」のものが目立った。この二つの国は、地図 で調べるとアフリカ大陸の西部にある。たこ焼き文化は、遠く離れた西アフリカの国々か ら輸入されるタコの恩恵が大きいことを知った。驚いたことに、これらの国ではタコを食べる習慣がないそうだ。また、西アフリカのタコを日本の私たちが手に入れるには「冷凍保存する技術」「輸送の技術」「国家間でのルールを作ること」など、多くの人々の力が必要だ。たこ焼きに詰まっている人々の努力がすごすぎて、なんだか感動すら覚える。

一方で、タコを捕りすぎて、西アフリカの海で、捕れるタコが少なくなるという現象も起きているそうだ。日本は、かつて捕りすぎによる漁獲量の急激な減少を経験した。水産資源を持続的に手にしていくには、一定の制限が必要だ。日本の私たちは、そうした知識や技術を世界に伝えていくことで、与えてもらうことへの恩返しができると思う。

私の好きな言葉に「飲水思源」という言葉がある。井戸の水を飲むときに、井戸を掘っ た人の苦労や努力に感謝することの大切さを教えた言葉だ。私たちの生活は世界とのつな がりの中で得た「モノ」にあふれている。そこに込められた「人々の努力」に思いを寄せ るとき私たちの生きる「世界」は「感謝」でつながることができると思う。

たこ焼きには、「世界」が詰まっていた!