「高校竜王」を目指し決勝で激しい攻防を展開した竹内広也君(左)と福田雄太君(8月18日、福岡市の電気ビル共創館)

将棋の高校日本一を決める第29回全国高校将棋竜王戦(日本将棋連盟など主催)が8月17、18日に、福岡市の電気ビル共創館で開かれ、竹内広也君(山梨学院高校3年)が初優勝。1月の高校将棋新人大会に続き2冠を飾った。(文・写真 南隆洋)

劣勢を挽回

大会には都道府県予選を勝ち抜いた52人(女子招待4人を含む)が参加。初日の予選リーグ(13組)を突破した26人が2日目の決勝トーナメントに挑んだ。

決勝は、同じ予選リーグで竹内君に勝った福田雄太君(栃木・文星芸術大学附属高校3年)と再対戦。攻防を別室で渡辺明竜王らプロが大盤解説した。

福田君は8月初め、広島県福山市で開かれた高校選手権団体戦(全国高校総合文化祭将棋部門)で優勝を飾ったチームのメンバーで、この日も勢いに乗り、序盤は優勢に駒を進めた。

しかし、竹内君は懸命にしのぎ、福田君が勝ち急いで打った一手を見逃さず、反撃。

解説は「(竹内君の)勝ち目なし」から「攻め合い、いい勝負」「どちらにもチャンス」に変わり、104手で劇的逆転劇を演じた。

粘り強い指し手で勝利を手にした竹内広也君(決勝戦で)

 

オンライン将棋で実力UP

 

竹内君は韮崎東中3年の時に「中学生名人」となり注目されたが、昨年の高校竜王戦ではベスト8。本来の力が出し切れない状態だった。道場にも通わず、師匠にもつかず、段位の申請もせず、自ら棋譜を見直し、スマホをつかったオンライン将棋を毎日1時間程度集中することで、勝負勘を取り戻してきた。

「(決勝以外を含めて)きつい試合だった。『これでダメだったらしょうがない』と開き直り、チャンスをものにできた。高校最後の試合を勝ててうれしい」と喜んだ。

渡辺竜王を目標に

渡辺明竜王の「現代的将棋」に魅力を感じており、「これから受験」に切り替え、大学進学後、さらに将棋の道を究めていきたいという。この日の勝利で、日本将棋連盟から「五段」を与えられた。

全国高校将棋竜王戦で優勝し、あこがれの渡辺明竜王(左)の祝福を受ける竹内広也君