検索大手ヤフーの親会社Zホールディングス(HD)と無料通信アプリのLINEが経営統合することで基本合意した。来年10月までに統合を完了させる。両社の利用者は国内で1億人超、検索や通販、金融、会員制交流サイト(SNS)などインターネットを通じた幅広いサービスを網羅するプラットフォーマーが誕生する。

米中の巨大ITに対抗

Q なぜ統合するの?

 統合の背景にはグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの「GAFA」など米国勢、アリババグループや騰訊控股(テンセント)の中国勢に対抗し「第三極」をつくる狙いがある。だがヤフー、LINE両社の利用者は単純合算で約2億4千万人と国内最大だが、米中巨大ITとの差は大きい。世界最大のSNS、米フェイスブックは24億人、騰訊控股は11億人、企業規模を表す株式時価総額も桁違いだ。

 

Q アプリが便利になるの?

現在はメッセージのやりとりやスマホ決済などを利用する際は、基本的に各社のアプリを個別にダウンロードする必要がある。両社の統合でそれらのアプリを一つにした「スーパーアプリ」が登場し、スマートフォン上で暮らしに必要なさまざまなサービスを一体的に享受できることになる。

膨大な個人情報握ることに

Q 今後の課題は?

検索サイトやSNSの利用者が集まれば、そこから獲得できる個人情報が増えてサービス向上の好循環が生まれ、利用者のサービスは便利になる。一方で、新会社は利用者の膨大な個人情報を握り、利用者のサイト閲覧履歴や通信販売での購入実績などが筒抜けになる恐れがある。

企業が就職サイトの閲覧データを使って「内定辞退率」を予測したデータを販売していた実例もあった。個人情報の利用と保護の在り方が大きな課題で、政府は立場の弱い個人の権利を守るための法改正を検討している。