高校生世代の女子にとって月経痛(生理痛)や冷え性は身近な悩みだ。対策や病院を受診すべきタイミングについて産婦人科が専門の加藤聖子先生に聞いた。(野口涼)

Q.月経痛(生理痛)を緩和するためにできることはありますか?

A.まずは規則正しい生活から

湯船でリラックス 鎮痛剤を適切に使おう

痛みは精神的な影響を受けるため、自律神経を整えると和らげることができます。食事は3食きちんととる、十分な睡眠時間を確保するなどの規則正しい生活を心がけ、部活や趣味など自分の好きなことをする時間を持つようにしましょう。温かい飲み物を飲んだり、お風呂でリラックスしたりするのも効果的。シャワーだけで済まさずに、できるだけ湯船につかって全身を温めてください。

 

鎮痛剤は、痛くなる前に飲むほうが効果的です。「2日目の朝から痛くなる」など、痛みが来るタイミングが分かる人なら、痛くなる前を見計らって飲みましょう。

 

Q.月経痛(生理痛)で、病院に行ったほうが良い場合は?

A.日常生活が損なわれる、出血量が多い、血の塊が出るときは迷わず産婦人科へ。

学校を休む、寝込む…病院へ相談を

痛みの感じ方はひとそれぞれ違いますので、一概に「こんな痛みの時に病院へ」とはお話しづらいです。病院に行く基準としては、学校を休んだり、一日寝込んでしまったりするほどの痛みがあり、「日常生活が損なわれている」と思う場合です。迷わず産婦人科に相談してください。子宮内膜症などの病気が隠れていることもあります。

出血量の多さ、塊が出たら危険信号

婦人科を受診したほうが良いもうひとつのケースは、出血量が多いとき。夜用のナプキンを数時間置きに替える必要があったり、血の塊が出たりするなら、子宮筋腫や腺筋症といった病気のサインかもしれません。フラフラしたり、動悸(どうき)がしたりといった貧血の症状にも要注意です。

感情のコントロールが効かない時も無理せず病院へ

月経前になると気持ちのコントロールができず、つらくなる人もいるでしょう。これは、月経の1週間くらい前から憂鬱(ゆううつ)な気分になる「月経前症候群(PMS)」で、月経がはじまると憂うつな気分から脱することができるのが特徴です。自分ではどうにもならず、イライラしたり、気分が落ち込んだりして感情がコントロールできず、人間関係がうまくいかなくなることもあります。月経が始まったら治るからといって軽視せず、つらい場合は産婦人科に相談しましょう。

 

加藤聖子先生

かとう・きよこ 九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学分野(産科婦人科)教授。