僕の通う国立高校(東京)の「国高祭(9月7・8日開催)」は、約1年かけて準備するクラス演劇のクオリティーの高さで、日本一の文化祭とも称されています。どのように作っているのか、紹介します。(高校生記者・坂部結生翔=国立高校2年)

生徒ですべて運営する

国高祭は、文化祭だけを示すのではなく、文化祭・体育祭・後夜祭の3つから成り立っており、それぞれに専門の委員会があります。加えて文化祭に関しては、当日の受付を担当する庶務委員会、広報活動を統括する広報委員会、ゲストへ配布するプログラムを作成するプログラム委員会、入退場門を手がける装飾門委員会、3年生のみが行う演劇展示「三年劇」の抽選を管理する抽選委員会が存在します。

国高祭についての本格的な議論は、国高祭関連の全ての委員会、生徒会執行委員会、監査委員会、各クラスの統括者、教職員数名を交えた「合同委員会」というものを4回にわたって行います。いずれの会議でも白熱した議論が行われ、下校時間を大幅に過ぎてしまうことがあります。

チケットは1日4回WEBで抽選

三年劇は国高祭の目玉で、これを観るためだけにいらっしゃる方も多いです。あまりに人気なので、以前は紙での抽選をしていたのですが、朝早くから並ばれる人が多く学校から数十メートルも続く行列ができてしまっていました。

そこで数年前にある生徒が作成したシステムを使って、スマホから観たい演劇に応募をして自動的に抽選されるというWeb抽選システムが始動しました。抽選は一日4回しかないのですが、惜しくも落選されてしまった方や高校見学に来てくださった中学生のための措置も施されています。

多くの人が演劇を楽しみにやってくる

美しすぎる「外装」にも注目

「国高の文化祭は『美術品』のようだ」と言われることもあるように、この「外装」こそ、日本一の文化祭と言われるゆえんではないかと個人的に思います。水を流したり、電車を走らせたり、火山やお城のモニュメントを作ったり…と手の込んだデザインが施されています。

なかでも特徴的なのが、三年劇の展示に見られる「ステンドグラス」です。これは簡単に言うとプラスチック板にカラーフィルムと模様が切り抜かれた黒画用紙を貼って、プラスチック板の裏側から光を照らす外装です。ある時期から脈々と受け継がれてきた国高祭の伝統の一つです。

入口の正面には「垂れ幕」と呼ばれる、各クラスの宣伝広告がはためいています。設置できる数が決まっており、事前に3年生を優先に設置団体の抽選をしていて、当日はゲストの方の視線を集めるので、とても力が入った作品になっています。

どちらも当日は撮影者が絶えない程の人気を誇る、国高祭の「看板」です。

垂れ幕でクラスの宣伝をする

勉強との両立が課題

文化祭に力を入れたくて入学したのか、人によって変わりますが、全体的に「三年劇に憧れた」という人が多いように感じます。ただ、実は全員が乗り気というわけではありません。日本一の文化祭とうたわれる国高祭を開催するわが校ですが、同時に進学指導重点校として学業に精を出すことがわれわれの本業です。やはり受験を控えた3年生の夏は勉学に励みたいという生徒が多いです。

入学時には私も「演劇部に入って役者として三年劇に出る」と心に決めていたのですが、さまざまな挫折を経て、今は勉強に専念しています。ただ勉強ばかりして大事な青春を過ごしてしまうのも味気ないかもしれません。もしも私たちの文化祭に心惹かれた方がいらっしゃれば、今からすぐに努力をして学力を高めておけば、入学してからが楽しいかもしれません。