由布高校(大分)郷土芸能部は、神を祭るときに行う歌や舞「神楽」に取り組んでいる。高校文化部の全国大会で毎年夏に行われる「全国高校総合文化祭」に、今年で6年連続出場している強豪だ。(文・写真 中田宗孝)

古事記の神話を舞で表現

同部は、江戸時代から地元の由布市庄内地区に伝わる「庄内神楽」に取り組む。「古事記」や「日本書紀」を題材にし、楽手(演奏者)が奏でる太鼓や笛の音色に合わせて、舞い手たちが勇壮な舞いを披露するのが特徴だ。

「庄内神楽『天孫降臨』」は、天狗の面を被った「猿田彦の命(さるたひこのみこと)」の先導により、中津国に神々が降臨する物語(8月、国立劇場で行われた東京公演リハーサル)

刀使って舞う 4人で息を合わせ

全国大会で披露した「庄内神楽『天孫降臨』」は、「古事記」に記された神話を、舞いと音楽で表現していく。舞い手を担う部長の園田唯我君(3年)は、「この演目で僕は、4人の“奉仕者(神楽を奉納する舞手)”の一人でした。練習では、激しく舞いつつも、4人の動きを揃えることを意識しました。刀も使うので動きを合わせるのがより大変なんです」と話す。

小太鼓を担当した楽手の藤田紫織さん(3年)は、「舞いはもちろん、掛け声一つから練習とは迫力が違いました。舞い手も楽手も気持ちが高ぶり、とても盛りあがって演目を終えることができたんです」と、全国の舞台を振り返る。園田君は、同部引退後も庄内神楽を続けるという。「自分の舞いをまだまだ上達させたいです」

次々と舞い手が舞台袖にはける中、最後まで残って、華麗な舞いを披露した園田君(8月、国立劇場で行われた東京公演リハーサル)
園田君(右)と藤田さん(8月、国立劇場で行われた東京公演リハーサル)