7月に行われた第25回参院選で政治団体「れいわ新選組」(山本太郎代表)が比例代表で2議席を獲得、特定枠1位で擁立した筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の舩後靖彦氏と2位の重度障害者木村英子氏が初当選した。一般社団法人「日本ALS協会」によると、ALS発症後に立候補し当選した例は舩後氏が初めてとみられ、世界的にも非常に珍しいという。

「弱々しく見えるが命がけ」

 

商社マンだった舩後氏は2000年に全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病ALSの告知を受け、08年には最後まで動いていた右手中指がまひ。現在は歯でかむセンサーでパソコンを操作し執筆や講演を続けている。人工呼吸器を装着して出席した記者会見では「弱々しく見える僕ですが、根性だけは人一倍、命がけなのですから」との談話を介助者が読み上げた。

生後8カ月で障害を負った重度障害者の木村氏は「障害者が地域で当たり前に暮らせる社会を目指したい」と語った。

議場のバリアフリー化を

両氏の当選を受け、与野党は国会のバリアフリー化を本格的に進めることや、介助者の本会議場入場を認めることで合意した。声が出ない舩後氏はALS患者らが利用する「分身ロボット」導入も要望しており、ハンディを抱えての議員活動をどう保障するか、国権の最高機関の対応が問われる。