スーパーサイエンスハイスクールの指定を受ける千葉県立柏高校理数科の現3年生3人は昨年度、「手軽にできる地震対策~百均マットに効果はあるか~」と題した研究を行った。「地震の報道で、コンビニの陳列棚から商品が崩れ落ちる映像を頻繁に目にします。何か対策ができないかと思ったのがきっかけです」(大家幸太君)

約1年かけて研究に打ち込んだ生徒たち

注目したのは、地震の揺れを吸収して家具の転倒防止に効果のある「耐震マット」。種類や価格に違いがあるが、「手軽に入手可能な百円均一ショップなどで販売する耐震マットの性能を調べることにしました」(瀬戸那奈美さん)

価格ごとの性能を実験

地震の強く激しい揺れを、大きくゆっくりとした揺れに変える「免震効果」を調べる実験をするため、価格が異なる3種の耐震マットを用意。ビーカーの底にマットを装着し、水を入れ、地震発生装置の上に置いた。「横揺れ」「縦揺れ」「その両方」という3パターンの揺れを30秒間発生させ、ビーカーからこぼれ落ちなかった水の量で各マットの性能を調べていった。実験の結果、意外にも価格の最も高いマットの免震性能が低い数値となった。「とはいえ、この結果だけで高級耐震マットの性能が劣っているとは考えませんでした」(松丸道幸君)

3種の耐震マットの表面構造を顕微鏡で確認すると、価格が最も高いマットは、他の2つと比べてきめ細やかだと判明。「高級な耐震マットの方が物体に接している面積が大きく、吸着力も強いと考えられます」(大家君)。3人は、性能の差こそあれ、耐震マットは地震対策にある程度の効果を発揮するアイテムであると結論付けた。

(文・写真 中田宗孝)