全国高校総体(インターハイ)陸上の女子1600メートルリレー決勝が2019年8月8日に沖縄県沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムで行われ、相洋(神奈川)が3分43秒11で2連覇。通算3回目の栄冠を手にするとともに、5日に制した女子400メートルリレーと合わせて「リレー2冠」を達成した。複数のスプリント種目で高得点をマークした相洋は、女子の学校対抗でも初優勝を果たした。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)

「3人の顔が浮かんで粘れた」

インターハイ陸上女子1600mリレーで優勝した相洋。2走の金子から3走の岩本にバトンを渡す

400メートルリレーの優勝が、慢心や気の緩みを招くようなことは一切なかった。

2走の金子ひとみ(3年)は、「四継は四継、マイルはマイルとしっかり切り替えて臨みました」と、チーム全員の思いを代弁する。準決勝を全体トップのタイムで通過した点についても、「準決勝で1番になったからと言って、決勝でも勝てるとは限りません。それに今日は風が強かったこともあって、タイムよりも優勝することが大前提でした」と、勝ちにこだわったことを強調した。

重圧のかかるトップバッターを務めたのは、個人の400メートルで4位に入った川崎夏実(3年)。「本調子ではなかった」と言うが、「ラスト100メートルで一番苦しかったときに(後ろの)3人の顔が思い浮かんで何とか粘れた」と、気迫の走りでトップに立ち、チームに流れを呼び込んだ。

金子も仲間のためにきっちり首位をキープした。「(3走の岩本)真菜(3年)は初めてのインターハイで緊張もあるはず。だから真菜のためにも絶対に1番で渡す」

岩本はもともと100メートルが専門。400メートルは今季から取り組み始め、「3人の中では走力が一番下なので、3人と一緒に練習したときはしっかりくっついて走れるように走力を上げることを重視して練習してきました」と話す。ラスト100メートルで埼玉栄(埼玉)にトップを譲り、「自分ではベストを尽くしたつもりでしたが、(高島)咲季(3年)に負担をかけてしまって悔しい」と言いながらも、その差を最小限度にとどめた。

アンカー高島、大会12本目のレース「最後は気持ち」

インターハイ陸上女子1600mリレーで優勝した相洋のアンカー高島咲季

アンカーの高島は、初日から個人の400メートルと200メートル、さらに400メートルリレーで予選、準決勝、決勝のすべてを走っており、このレースが今大会の12本目。疲労がなかったはずはないが、「勝つしかない」と残る力のすべてを注いだ。「走る前に4人で『最後は気持ち』」と言っていたことも頭にあった。

200メートルあたりで再びトップを奪い返すと、3人の、そしてチームの思いが詰まったバトンをゴールに運んだ。「後半、持つかわかりませんでしたが、みんながスタンドで応援してくれていたので出し切りました」。高島にとっては今大会、400メートルと400メートルリレーに続く、3冠目となる歓喜のフィニッシュとなった。