放送部などで活動する高校生が作品制作やアナウンスなどで日本一を目指す第66回NHK杯全国高校放送コンテスト(Nコン、全国放送教育研究会連盟・NHK主催)の全国大会が7月23日から25日まで行われ、6部門の優勝者・優勝校が決まった。

表彰式にて。優勝した代表の生徒たち

都道府県大会には1585校1万4999人が参加し、勝ち抜いた531校が全国大会に進んだ。創作ラジオドラマ部門では決勝で3校が競った。

優勝 愛媛・新居浜西高校「溺れ…る。」

ライバルとの関係で葛藤する女子高校生を描いた

吹奏楽部でフルートパートを担当する二人の女子高校生、ユキとアカリ。上手な人が担当できる「第一パート」を演奏するため、オーディションに臨む。難なく曲が吹けるアカリの姿を見ると、まるで水に溺れそうな気持ちになり苦しむユキ。オーディションで戦うか、力の差を受け入れるのか。もがきながらも前を見据える姿を描いた。

作品中には、ピアノ曲が印象的に流れるが、代表生徒の知り合いのピアノの先生に作品のコンセプトを伝えて作曲してもらったという。「フルート演奏は私が作曲して演奏したもの」と明かした。

準優勝 千葉・柏南高校「だいじょうぶのおまじない」

祖母を看取った経験を作品に

余命いくばくもない祖母を自宅で引き取り、母と看取る高校生の少女の姿をリアルに描写した作品だ。「おばあちゃんはもう死んでしまうのになにもできない…」という少女の苦しみを、子どもの頃に祖母に読んでもらった一冊の絵本が救う。

代表の生徒は「昨年12月祖母が亡くなり、実際に家で看取りをしたが、祖母に何ができたのかと後悔した。作品にして多くの人に知ってほしくて作品を作った」と話した。

優秀 和歌山・桐蔭高校「ミッドナイト・ハイウェイ」

特別な存在って、何だろう

高校時代、プロ野球選手を目指すものの挫折した経験を持つ、タクシーの運転手が主人公。「天文台に向かって」と依頼する客の少女との対話の中で、主人公、少女ともに大切なことに気付いていく。「居場所がない」「認められない」「特別な存在になりたい」という心の葛藤を、星にかけて表現した。

壮年の男性を演じたキャスト2人は、1年生が演じたという。代表生徒は「入局初日に何人か読んでラジオドラマに出ないかと伝え、オーディションした」と話した。

創作ラジオドラマ部門以外の結果は次の通り(「優秀」以上を掲載)

【アナウンス部門】
▽優勝 広瀬陽菜さん(千葉・検見川高校3年)
▽準優勝 吉井琴春さん(宮崎・宮崎第一高校3年)
▽優秀 山口文野さん(長崎・長崎南高校3年)、山口雄大君(長崎・大村高校2年)

【朗読部門】
▽優勝 才川陽妃さん(佐賀・佐賀清和高校3年)
▽準優勝 寳藏寺花映さん(長崎・長崎日本大学高校2年)
▽優秀 小林桃子さん(栃木・宇都宮女子高校3年)、重面佳純さん(宮崎・宮崎北高校3年)

【ラジオドキュメント部門】
▽優勝 兵庫・東播磨高校「ダイナミックルーキー」
▽準優勝 北海道・帯広三条高校「鈍色の朝」
▽優秀 北海道・札幌南高校「先生!水飲みたいです」、広島・呉三津田高校「八月六日の日記帳」

【テレビドキュメント部門】
▽優勝 長野・松本深志高校「最後のLHR」
▽準優勝 静岡・浜松北高校「(略)」
▽優秀 三重・青山高校「変わりたい。」、三重・高田高校「『宿題』を通して見えたもの」

【創作テレビドラマ部門】
▽優勝 三重・松阪高校「魅かれ惹かれて」
▽準優勝 千葉・市原中央高校「女尊男卑。」
▽優秀 愛媛・新居浜西高校「イカスミパスタ」

※以下で放映予定
『ティーンズビデオ2019』
創作ドラマ部門…8月13日(火)9時半~10時15分(NHK Eテレ)
ドキュメント部門…8月14日(水)9時半~10時15分(NHK Eテレ)

『ティーンズラジオ2019』
8月26日(月)10時~11時(NHK-FM)