5月24日にあった全日本女子ウエイトリフティング選手権6キロ級を制した柏木麻希(京都・鳥羽3年)=京都・西宇治中出身。7月の全国高校女子選手権では6キロ級で3連覇を狙う。何事にも動じない豪快な性格と高い身体能力を武器に、将来は世界の頂点を目指す。(文・写真 白井邦彦)

高い身体能力 体力検査は満点 

両親、姉、弟と家族全員が選手(元選手)という重量挙げ一家で育つ。現在は、父・佳久さん(48)が監督を務める鳥羽ウエイトリフティング部で練習に励んでいる。

小学5年時に、父が主催する「鳥羽クラブ」で競技を始め、小学6年の後半からは高校生と同じ練習をこなす。中学時代に全国3連覇を成し遂げた。

幼いころから練習はほぼ毎日。今は平日の放課後2~3時間、休日は6~8時間、ひたすらバーベルを持ち上げる。

監督は練習のたびに、腰の高さ、脚を開く幅、バーベルを上げるタイミングや軌道など細かい指示を出す。バーを握る位置を5ミリ単位で修正させるほどの細かさだ。柏木が一番力を発揮できるフォームを教えるためである。柏木はこの練習を繰り返すうちに、本番でも自らフォームを修正する力を身に付け、安定した強さを保てるようになった。
 身体能力の高さも強さを支える要因の一つ。4月にあった学校のスポーツテストでは満点を記録した。監督は「長く体育教師をしているけれど、スポーツテストで満点を出したのは麻希が初めて」と驚く。

一番の武器は負けん気の強さ

物おじしない性格も、競技者としては見逃せない強み。愛らしいルックスからは想像しにくいが、「どこでも寝られますし、好き嫌いなく何でも食べられる」と本人が話すように性格はずぶとい。

社交性も高く、国際大会では片言の英語で積極的に外国人選手に話し掛ける。

高校1年時にけがを押して出場したアジアユース選手権の開会式では、海外の選手たちと仲良くなり、お祭り騒ぎに。「日本代表として、あの行動は駄目だった」と反省するが、器の大きさを周囲に知らしめた大会となった。

心技体そろった柏木の夢は、東京五輪での金メダル獲得だ。「世界選手権3位の記録を持つ母(三奈さん)が『私の記録は抜けない』と自慢するのが悔しくて……。東京五輪で優勝して母を越えたい」と力強く語る。この負けん気の強さが、一番の武器かもしれない。

 

かしわぎ・まき 1996年12月27日、京都府生ま昨年のアジアユース選手権63キロはトータル2位。3月の高校選抜同級で2連覇。167センチ、63キロ。

▶ 趣味…体を動かすこと。水泳や陸上競技の経験もあり。中学では砲丸投げで全国大会 に出場

▶ 憧れの選手…日本代表の安藤美希子選手(平成国際大)、北京8位の斉藤里香さん( 現役引退)

▶ 好きな食べ物…リンゴ、うどん。特にうどんが大好き。「朝昼晩、うどんでも大丈夫」

▶ 好きな音楽…映画「アナと雪の女王」の主題歌「Let It Go」

▶ マイブーム…料理。ほぼ毎日、家族の晩ご飯を作る。クッキーなどのスイーツを作る のも得意