★JICA国際協力中学生・高校生エッセイコンテストの募集要項はコチラ

2018年度審査員特別賞 倉𣘺優亜さん(東京都立西高等学校2年)

インタビューの様子(左列、一番左が倉𣘺さん)
集合写真(上から2列目、左から4番目が倉𣘺さん)

Q. エッセイコンテストに応募されたのはなぜですか? きっかけや経緯を教えてください。

私は、幼い頃にタイでストリートチルドレンを見てから、未来に希望のある子どもたちを助けたいと思っていました。そしてその目標に向かってJICAのキャンプ型研修事業に参加するなど「貧困で困っている子どもたちを将来自分の力で助けられる」ように国際貢献について一生懸命勉強しているつもりでした。しかし、それでは何も解決しない。そう痛感したのがロヒンギャ難民の方へインタビューをしたときでした。彼に「貧困の現状を広めて下さい、ただそれだけでいいんです」と言われたとき、「ああ、それでいいんだ」と何かが私の中で紐解けた感覚がしました。貧困を解決するとなると何か壮大なことをしなければいけないと勝手に思って何も行動には移していなかった自分に不甲斐なさを覚えると同時に「無知の暴力」が1番貧困を苦しめていることを知りました。だから、このエッセイを通して1人でも多くの人に貧困問題を知ってもらい、みんなの力を合わせて解決に進む手助けをしたい気持ちで応募しました。

Q. エッセイで一番表現したかったのはどんなことですか?

貧困の現状と真摯に向き合うことの大切さです。多くの人は貧困で困っている人々がいることを知っているでしょう。しかし、内情を詳しく知っている人は少ないように思います。なぜなら自分にはどこか関係がない、どうしようもないと思っているからです。私たちにできることはたくさんあります。言うなれば、私たちひとりひとりが貧困問題解決には必要不可欠なのです。だから、私はロヒンギャ難民の方をはじめ、貧困で苦しむ人々の思いを背負って、代弁することが今の自分にできることであり、それは誰しもができることだと思っています。少しずつでも、貧困を無視するのではなく行動していく人が増えればこの地球は思いやりに溢れた温かい場所になると信じています。このような希望を最たる核としてエッセイを書きました。

Q. エッセイ執筆の過程で苦労したことや、工夫したことがあれば教えてください。

強いていうならば、字数制限です。ロヒンギャの方の言葉をそのまま書きたかったのですが、字数の制限上、どうしても抜粋しなければいけない部分が出てきたことが1番悔しかったです。

Q. 執筆してよかったと思うことがあれば、教えてください。

このエッセイを読んでくれて、貧困について知ったり、向き合ってくれたりする人が増えたのを実感したことです。学校ではSDGsを広めるサークルも立ち上げることになりました。ロヒンギャの方の思いが私を通じて誰かに伝わっていることを知り、色々とやってきてよかったな、と温かい気持ちになります。

Q. 次回のコンテストの応募を考えている生徒に向けて、テーマの決め方や、文章の書き方のアドバイスをお願いします。

「素晴らしいこと」は書く必要ありません。皆さんの感性に従って、世界への熱い思いをぶつけて下さい。そこで、事実を淡々と書くのではなくて皆さんが問題意識したきっかけや、そこから自分なりにどうとらえて、どうすればよいか或いは今どのように解決に取り組んでいるのかを実体験を通して具体的に書くのがよいと思います。とにかく皆さんの思いが伝わるエッセイが書けることを願っています。

Q. あなたのこれからの目標や夢があれば教えてください。国際協力に何らかの形でかかわりたいと思っているようでしたら、そのかかわり方も教えてください。

私は「誰もが夢を持てる世界」を作ることを目標としています。それができればどんな職業でも良いと思っています。貧困で苦しむ子どもたちは心苦しいことに「夢」を持つことさえも許されません。なぜなら、それよりも明日の生活を考えなければいけないからです。学校に行く時間があるなら家族のために水を運んだり、街でお金を稼いだりする子どもたちがたくさんいます。その子たちに遠い未来を見ている暇なんてあるのでしょうか。だから、まずは生活を安心してできる環境づくりをしていきたいです。

また、この問題は何も貧困地域に限ったことではないと考えています。日本でも、子どもがやりたいことを「どうせ無理」と言って大人から抑えられていくうちに、我慢して勉強してればいいんだ、といつしか夢の見つけ方を見失っている子どもが多いように思います。少なくとも私の周りではよく見かけて、その都度何とも言えない悲しい感情、悔しい感情が湧き上がります。

夢があることは人生を豊かにしてくれます。たとえお金がなくても、自分の好きなことをして幸せならそれが1番理想であると思います。だから、私は夢を奪ったり夢を持つことのできない環境を改善し、こんな幸せを感じられる子どもたちをもっともっと増やしていける人になりたいです。