布施和伸君、斎藤和寛君、齋藤潤一君(東京・東京学芸大学附属高校、共に3年)は、「オナラの音と臭いを消すパンツ」の開発に取り組んだ。

「周りが気になりオナラを我慢して体調を崩してしまう。そんな誰にでも思い当たる悩みを解消するパンツを作ろうと思いました」(布施君)。すでに、オナラの音を小さくするクッションや、臭いをやわらげるパンツは商品化されているが、3人が目指すのは、臭いと音の両方を消す万能パンツだ。

まずは消音実験。音を消すには、障害物で音をはね返して遮断する「遮音」と、音を吸収する「吸音」を組み合わせると効果があると分かった。吸音材の役割を担うスポンジで携帯電話をくるみ、缶の中に入れて密閉。アラーム音がどのくらい小さくなるか試した。「密閉状態の中で音がはね返り、音波同士が音を打ち消しあい、高い消音効果がありました」(布施君)。

次に、臭いを吸着する活性炭を用いた消臭実験だ。きつい臭いのアンモニアと硫化水素を活性炭で消臭できるかを調べた。パンツの中と同じ条件にするため、活性炭を袋に入れて実験すると、2つの気体を吸着させた活性炭の質量が増えており、消臭効果が得られた。

研究をする3人(学校提供)

炭やステンレスを使用

音や臭いの実験を重ね、試作品を製作した。袋に入れた脱臭効果の高い活性炭、2枚のステンレス板(遮音材)、2枚の市販の吸音材を、2枚の布の間に挟み、パンツのお尻が当たる部分に装着した。実際に履いてオナラを出し、音と臭いを5回測定。「お尻から30センチ以上離れれば臭いはしない」(斎藤君)

手に持っているのは試作したパンツ

普通のパンツと、試作品を履いたときのオナラの音を音量測定器でそれぞれ計測すると、試作品の方が音を抑えられていた。「だけど、完全に音は消えなかった……」(布施君)

使用したステンレスが履き心地の面で悪いという課題も残った。布施君は、「今後は消音と履き心地を改善し、商品化を目指したい」と、意気込む。(中田宗孝)