2020年から小学校で必修化されるプログラミング教育。その後、中学校や高校でも導入が予定されています。高校生記者の志村さんも「授業でプログラミングを学んでいますが、独特なルールにとまどうこともしばしば」とのこと。そこで、初心者が学びやすいプログラミング学習ソフトを開発している、千葉工業大学情報科学部情報ネットワーク学科の國宗永佳(くにむねひさよし)教授にお話を伺いました。

 

プログラミング的思考を身につける

プログラミングは、コンピュータに対して「こういう処理をしなさい」という命令文を書くようなものだ。英語と記号などを組み合わせて作られた「プログラミング言語」を、キーボードで入力していく。

「ところが、これが結構大変なんです」と國宗先生。プログラム言語には独自の文法があり、それに厳密に従って書かないとコンピュータが命令を理解してくれないからだ。志村さんも、「文の区切りを表すセミコロンを1つ書き忘れただけでエラーが表示され、プログラムが動かないんです」と苦労を語る。

「ルールがたくさんあって面倒ですよね。でも、実は小学校でプログラミング教育を導入する目的は、プログラマーを育てることではないんです。目的は、『プログラミング的思考』を身に付けさせることです」。情報社会の今、世の中にあふれる膨大なデータを、コンピュータを活用していかに効率よく処理し、人間の生活に役立てていくかが重要になっている。そのためにはまず、コンピュータがデータをどうとらえ、どう処理していくのかを理解することが必要だ。「そこで、面倒な『プログラムの書き方』の学習を省き、一番重要な『プログラムの考え方』を学べるソフトを開発しました」

プログラムの流れや動きを視覚化

 

國宗先生が開発したプログラミング学習システム「AT」は、文字や記号のキーボード入力はほとんど必要なく、日本語で命令が書かれたパズルのようなパーツを組み合わせてプログラムを作成する。「Scratch(スクラッチ)」というプログラミング学習ソフトに似ているが、コンピュータがどういう順序で命令を実行し、どんな処理の仕方をするのかが視覚的に分かるようになっているのが特徴だ。実際に操作した志村さんは、「処理の開始から結果が出るまで、1つ1つ段階をプログラムの流れや動きを踏んで確認できて、分かりやすいですね」と感心する。

プログラムの特徴的な考え方として國宗先生があげるのが、「分岐」と「繰り返し」だ。分岐とは、「もし○○ならば、△△せよ。そうでなければ、×× せよ」というように、条件によって処理を分けること。繰り返しとは、定めた条件を満たす間、同じ処理を繰り返すことだ。コンピュータソフトは、基本的にこの2つの組み合わせでできているという。

「プログラミング的思考を身に付けると、たとえ複雑な問題にぶつかっても、問題を解きやすく分解し、どんな処理の仕方を組み合わせれば効率よく解決できるかという手順を考えられるようになります。データ処理だけでなくさまざまな課題解決に応用できるので、これからの時代に大いに役立ちますよ」

 

【取材を終えて】 志村 明果さん(東京都立国立高等学校・2年)

プログラミングと聞くと難しくて、自分には無縁のイメージでしたが、どうやってその答えを出すかのプロセスが大切だということが分かりました。また、スポーツのトレーニングなど本当に様々な分野でプログラミング的な思考が活かせると知り、驚きました。先生の研究が進めば、もっと多くの人がプログラミングに親しみを持ってもらえると思うので期待したいです。

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