【強さのヒミツ67】千葉・西武台千葉 陸上競技部

西武台千葉(千葉)陸上競技部は昨年、全国高校総体(インターハイ)などで、3人の全国大会王者を輩出した強豪校だ。限られた練習場所を効果的に使おうと、基礎的な動きや技術を習得するために繰り返し行う練習「ドリル」を重視している。 (文・写真 小野哲史)

陸上競技部が自由に使えるのは、グラウンドを取り囲む500メートルの土の走路と全天候型の150メートルの直走路3コースのみ。長距離チームは、学校のすぐ脇にクロカンコースもあるが、鉄棒や砂場、階段など、使える場所は有効に使っている。

個々の「ドリル」重視

個々で行うドリルを大事にしている。U18日本選手権(昨年10月)のやり投げで4位に入った内田萌奈(3年)は、5種類程あるドリルを冬季は週に2、3回、シーズン中は週1回行い、安定した投げを身に付けてきた。

「実際に投げるときは助走の段階で足の運びや、やりの角度を意識しづらい。ドリルで1つ1つの動きに集中することで、意識がより鮮明になります」

やり投げを始めた高校入学当時を振り返り、「ドリルをしっかりやったからこそ、助走の抵抗感を持たなくて済んだ」とも話す。

110メートルハードルの柞山真翔(3年)は中学から高校に上がった際、高校用のハードルの高さに苦労したという。「ドリルによって高さに慣れましたし、タイムが伸び悩んだときもドリルから見直しました。上体のブレが少なくなり、足を抜いたり刻んだりするスピードが速くなりました」。さらに走る練習や補強もしっかりこなした成果が、昨秋の県新人戦での優勝と自己ベスト更新につながった。

全員で体幹補強

練習の締めくくりとして行う練習メニューがある。ダイナマックスメディシンボール(重みがあり、トレーニングに使用できる器具)を持ったまま全力疾走する「メディラン」だ。冬季はほぼ毎日、シーズン中も時々、基本的に種目に関係なく全員が行う。体幹の強化が主な狙いだ。

400メートルが専門の主将・佐渡規央(3年)は、「うまく体が使えるようになり、ダイナマックスを持たないで走ると、かなり楽に感じます」と語る。

ハードルドリル

バー部分が開くフレキハードルを数台並べ、振り上げ足(前足)や抜き足(後ろ足)などを意識しながらハードリング技術を養う

 

やり投げドリル

やりを持って投げる体勢を作った状態で、ケンケン、スキップ、クロスステップなどを行う

 

メディラン

ダイナマックスメディシンボール(男子は4キロ、女子は3キロ)を体の前で持ち、できるだけ揺らさないようにして全力で200~300メートルを1本走る

 

平日の練習の流れ

   16:00
ウオーミングアップ、ストレッチ
   17:00
短距離、長距離、跳躍、投てきなど
各ブロックに分かれて専門練習
(全員で腹筋や片脚スクワットといった
サーキットトレーニングを行う日もある)
   18:00
クールダウン
   18:30
練習終了
 
【TEAM DATA】
1986年創部。部員67人(新3年生38人、新2年生28人、マネジャー1人=1年生入部前)。スローガンは「全力」。今春卒業した走り幅跳びのインターハイ王者・海鋒泰輝(日大)は日本陸連のダイヤモンドアスリートに認定された。練習場所は学校の他、野田市総合公園陸上競技場で週2回程度行っている。