大学入試センターは、2021年1月から実施する「大学入学共通テスト」(新テスト)の出題方針を固めた。国語・数学の記述式の導入をはじめ、現在のセンター試験からは問題の構成や内容が変わる見通しだ。一方でセンター試験と変わらないこともある。高校生はどう勉強していけばよいのか。大学入試センターなどへの取材に基づき、ポイントをQ&A形式でまとめた。

大学入学共通テストの試行調査の英語(リーディングとリスニング)の問題(左)と、国語の記述式の問題・解答用紙・採点基準(右)

Q 新テストはどんな問題が出るの。

A 初回となる2021年から4年間は、今のセンター試験と同じ6教科30科目が出題される。受験者数の多い18科目は、17年度と18年度の2回、試行調査(プレテスト)が行われた。その問題と解答は大学入試センターのホームページに掲載されている。

国語と数学で記述式

Q センター試験と変わる点は。

A 大きな変化は、国語と数学Ⅰに記述式解答を求める問題が出題されることだ。試験時間は、「国語」がセンター試験より20分長い100分に、「数学Ⅰ」「数学Ⅰ・A」が10分長い70分になる。成績は、国語がマーク式を200点満点として記述式は段階別で示す。数学Ⅰ・Aなどは、マーク式と記述式をあわせて100点満点となる。

Q 記述式の出題内容は。

A 国語は、1つの大問が記述式の出題にあてられ、小問が3題出題される。記述式の題材は、評論文など「論理的な文章」か「実用的な文章」のどちらか、あるいはその両方を組みわせたものになる。数学は、数式や問題解決のための方法などを短い文で書かせる小問が3問予定されている。

Q 難しいのかな。

A 国語は解答字数が「20~30字程度」「40~50字程度」「80~120字程度」の小問3題が出る。昨年の試行調査の正答率は、それぞれ75.7%、48.5%、15.1%だった。大学入試センターの想定通りという。本番も同様の難易度になりそうだ。

 数学の記述式の3問の正答率は、5.8%、10.9%、3.4%と低かった。センターは、数学全体の問題量が多かったとみており、本番の分量を調整する考えだ。当面は数式を記述させる出題のみとする可能性もあるという。

大学入学共通テストがセンター試験と変わる点や変わらない点(高校生新聞の取材による)

英語の配点を変更

Q 英語も変わると聞いたけど。

A センター試験では「筆記」(200点)と「リスニング」(50点)の2つに分けて出題してきたが、新テストは「リーディング」(100点)と「リスニング」(100点)に分かれる。リスニングの比重が高まるね。リーディングの試験は、センター試験で「話す力」や「書く力」を問うために出題されていた発音問題や語句整序問題などが姿を消し、読解問題中心になる。英語の4技能を測る民間試験の導入も踏まえたという。

Q 民間試験とは。

A 大学入試センターは、試験内容や会場などの基準を満たした8種類の英語の民間試験を認定した。現役生は、原則として高校3年生の4月から12月の間に受ける試験を2回まで大学入試に使う試験として選び、その結果が大学入試センターを通じて、受験する大学に提供される。

 国立大の多くは民間試験を入試に使うが、出願資格にしたり配点したり、必須にしなかったりと対応はばらついている。私立大も含め、自分が志願する可能性がある大学の方針を確かめてほしい。

場面設定を重視して出題

Q ほかの科目は。

A 国語、数学、英語を含め、多くの教科で出題傾向が変わりそうだ。社会問題や日常生活の場面を題材にしたり、グループ学習や発表など授業の場面を設定したりした出題が重視される。

 資料やデータを読み解かせる出題も増えそうだ。資料の中には教科書に載っていないものも出るが、大学入試センターは「見たことがない資料でも、高校の授業で学んだ知識や思考力で解ける」と説明しているよ。

Q なんだか難しそうだね。

A ただ、テストは限られた試験時間で受験生の力を測るものだから、難問ばかり出題されるわけではない。センター試験がそうだったように、深く考えさせる設問と、短時間で答えられる設問を織り交ぜた出題になるだろう。