文学部の英語専攻と外国語学部の英語専攻。大学では語学力に磨きをかけたいけれど、どちらに進学したらいいか分からない。そんな高校生に向けて、大阪大学文学部の岡田裕成教授に、文学部についての疑問に答えてもらった。(木和田志乃)

Q.語学について、外国語学部と文学部で違いはある?

A.文学部は広く人文学の一環として言語や文学を学ぶ。

文学部にはフランス文学、ドイツ文学、英米文学、中国文学などの専修があり、外国語学部にはフランス語、ドイツ語、英語、中国語などの専攻があります。

言語習得は基本的で重要なスキルですから、文学部でも力を入れています。複数の外国語をしっかり学んでもらいます。また、文学部・外国語学部での学習には重なっている部分もあります。

ただ専門教育の段階になると、文学部では、言語の習得とともに、その背後にある文化を深く探究します。文学部は広く「人文学」を学ぶ場所です。各国の文学はもちろん、その言語の勉学や研究も、私たちは人間と文化を理解する行為の一環と考えています。とはいえ、話す、聞くという、実践的な能力をつけることも疎かにはしていませんよ。

社会問題やポピュラーカルチャーも研究対象

文学部が取り組む人文学は多様な分野から成ります。また、昔からの名作文学や古い時代の歴史や文化だけを研究しているわけではありません。移民などのグローバルな問題、介護の場での実践的な倫理の問題、あるいは性的多様性の問題など、現代の社会で問われているさまざまな問題が扱われ、ポピュラー音楽や現代芸術も研究対象になります。

研究の方法も多様です。本を読むだけでなく、実地の調査、フィールドワークに取り組む分野もあります。

そういう分野では、オーラルのコミュニケーションも必要になりますので、話す、聞く語学力も積極的に身に付けていきます。

 岡田裕成教授(大阪大学大学院文学研究科教授)

 
おかだ・ひろしげ 大阪大学文学部卒。大阪大学文学研究科博士後期課程退学。文学修士。専門はスペイン・ラテンアメリカ美術。著書に『ラテンアメリカ 越境する美術』(筑摩書房)など。