新しい環境での出会いが増えるこの時期、友達関係のことで悩んだら、どう考えて対処していけば良いのだろうか。「認知行動療法」の専門家である千葉大学大学院医学研究院の清水栄司教授に聞いた。(安永美穂)

Q. 「自分とは合わない」「苦手だな」と思う人と上手に付き合うにはどうすればよいですか?

A. 人間関係は好きと嫌いで二分できないもの。白黒つけない考え方をしてみよう。

人間関係は「好き」と「嫌い」に二分できるものではないので、苦手な人のことを無理に好きになろうとする必要はありません。まずは、「好きでも嫌いでもない人」という位置づけにできないかを考えてみましょう。

苦手な人に対しては「私にだけ厳しい」などと無意識のうちにレッテルを貼っていることが多いので、その人の「どの部分が苦手なのか」を考え直すことが大切です。相手の言動だけに目を向けてみると「あの先輩が私を厳しく叱ったのは、私のことを嫌いだからではなく、こういうことを教えようとしていたからかもしれない」といった別の見方ができるかもしれません。

苦手な人と接する時間を増やしてみると、まだ見えていなかったその人の良い一面が見えてくることもあります。

 
清水栄司教授
しみず・えいじ 千葉大学大学院医学研究院認知行動生理学教授。精神科医として、主に不安症やうつ病などの治療を担当。『ぐるぐる考えてしまう心のクセのなおし方』(大和書房、税抜1400円)など著書多数