文部科学省は、大学入試改革の一環として、受験生の高校時代の特徴や経験などを高校教員が記入する「調査書」の電子化を進める方針だ。2022年度に実施される大学入試(23年春の入学者を対象)をめどに全大学の全ての入試での電子化を目指すという。

調査書は、高校教員が受験生の高校での各科目の学習や、部活動など課外活動について記入するもの。現在は教員が紙に記入し、受験生は郵送などで大学に提出している。

文科省が進める大学入試改革では、受験生の「主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度」も測るよう各大学に求めている。そのために調査書の活用を広げようと、(1)各教科・科目や総合の時間などの学習(2)行動の特徴、特技(3)部活動、ボランティア活動・留学経験・海外経験(4)資格・検定(5)表彰など(6)その他―といった項目ごとに欄を分けてより多くの記載をできるようにするなどの見直しをする方針だ。ただ、調査書を作成する高校教員の負担の重さも指摘される。大学からも、限られた期間で受験生の調査書を読んで、公平性を保ちながら選抜に活用するのは困難という声が出ている。調査書の電子化によって、高校側は記入しやすくし、大学側も多くの受験生の記入内容を入試で比較しやすくする狙いがある。

3月18日に文部科学省が開いた大学入試改革に関する報告会で、同省の担当者は「来年度から2年間で電子調査書の活用を調査・研究して、その成果をふまえて(大学入試では)原則として電子調査書を使う」と話した。2年かけて調査書の電子化に必要なセキュリティ環境や、主体性などの評価の在り方を検討する。2022年度に実施される大学入試をめどに、調査書を「全ての大学の全ての入試区分で」電子化することを目指すという。