10年連続22回目の全国高校総体(インターハイ)出場を決めた山形市立商業女子バスケットボール部。「山商」の愛称で知られる東北を代表する強豪チームは、限られた練習環境を苦にせず、社会人チームや大学生チームとの実戦練習を積み、今夏に臨む。(文・写真 青木美帆)

この5年間の全国大会はベスト8が1回、ベスト4が3回、準優勝が1回。全国でも屈指の強豪だ。

週3日は体育館が使えず、オールコートを使えるのは、平日は水曜日のみ。トレーニング設備もない。足りないものを補うため、練習ではさまざまな工夫を凝らす。

例えばシュート練習では、時間制限や成功数のノルマを設定。ノルマに届かないときはペナルティーが課される。自然と集中力と緊張感が増す。

山形銀行や山形大学といった、山形市内に練習場を持つ実業団、大学の強豪チームに胸を借りることも多い。試合をすればボロボロに負ける。156㌢と小柄な福田知穂さん(3年)は「(相手は)体が強いので、しょっちゅう吹っ飛ばされます」と笑いながら「でも、高校生相手には当たり負けしなくなります」と続けた。「トレーニングが十分にできない分、実戦で身に付けてほしい」と話す高橋仁監督の狙い通り、チームはこれ以上ない強敵にぶつかり、練習時間以上の経験値を得ている。

今年の主力は、昨年までほとんど試合に出ていなかった選手が多い。主将の吉田園佳さん(3年)は「経験が浅いので、接戦であせるところがある」と話す。

「人とボールが止まらないバスケットボール」(高橋監督)を目指す。体に染み込ませるにはまだまだ時間がかかるが、吉田さんは「(インターハイは)後輩たちにとって最初の全国大会。優勝もしたいけど、まずは一つ一つ戦っていきたい」と意気込んだ。