高校生の苦手を解決 日本史 田部圭史郎先生(駿台予備学校 日本史科講師)

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ある歴史事象を単に覚えるのではなく、理解していこう。そのためにはその出来事が起こるに至った原因・背景や、出来事の結果・影響を考えることが重要だ。

例えば、日清戦争がなぜ起きたのかを理解するには、その前に朝鮮で甲午農民戦争が起こり、日清両国が出兵し、朝鮮をめぐって日本と清が対立した経緯を理解しておく必要がある。逆に、日清戦争が当時の東アジアや日本の政治・経済にどういった影響をもたらしたのかを考えることも大切だ。

ある出来事について知りたいと思ったときは、その出来事だけを単体で捉えるのではなく、「原因・背景として何があったのか」「結果・影響にどのようなことが考えられるか」を意識して教科書を読み直してみよう。日本史の学習では、こうした歴史事象の「背景-原因-経過-結果-影響」のつながりを追求する姿勢が要る。とりわけ、センター試験に代わる「新テスト」は、歴史事象の論理関係を考察する力を問うものが多い。

雑談も思い出す助けに

用語や年代を暗記するだけでなく、それぞれの出来事や制度などの内容そのものをしっかり理解しよう。苦手意識がある人は、授業の前に教科書を読み、分からないところを明確にしておこう。

授業中は先生の話をよく聞き、板書のほかにも先生が強調したポイントはノートにメモするとよい。重要人物にまつわる面白いエピソードなど、先生の雑談の中で印象に残ったことも書き留めると思い出すきっかけになり、知識・理解の肉付けにもなる。予習で教科書をどれだけ熟読したかで、授業で得られるものは大きく変わる。

復習では、ノートを見て授業内容を思い出し、教科書を読み直して、予習時の疑問点が解決できたかを確認しよう。さらに、一問一答形式の問題集で重要用語が頭に入っているかをチェックし、演習用の問題集にも取り組むと良い。

「なぜ?」疑問を大切に

難解な用語が数多く出てくるが、意味をしっかり理解してから覚えると記憶に残りやすくなる。「なぜこの名称なのか」を調べ、一つ一つの言葉の意味を押さえておこう。「なぜ?」という疑問を大切に、一歩踏み込んで考えてみることで「そういうことか」と納得できることが増えていくはずだ。  (構成・安永美穂)

 
 
田部圭史郎先生(駿台予備学校 日本史科講師)
たなべ・けいしろう 神奈川県出身。専攻は経済思想史。「理解を深める板書」と「記憶に残る話」を心掛け、日々熱い授業を展開中。模試や教材などの作成にも携わっている。趣味はドライブと旅行。