Q  北方領土問題とは?

 ロシアが占拠している択捉(えとろふ)島、国後(くなしり)島、色丹(しこたん)島、歯舞(はぼまい)群島の返還を日本が求めている問題。第二次世界大戦末期の1945年8〜9月、ロシアの前身であるソ連軍が日本との中立条約を破って侵攻したのが発端。日ソ両政府は56年の日ソ共同宣言に平和条約締結後に色丹と歯舞を引き渡すことを盛り込んだが実現しておらず、両国はいまだ戦争処理のための平和条約を結べていない。2013年4月の安倍首相とプーチン大統領の会談で、双方が受け入れ可能な解決策を目指す方針で一致していた。

北方領土

Q  なぜ領土交渉が進まない?

 北方四島については、「日本固有の領土をロシアが不法占拠している」とする日本と、「第2次大戦の結果、ロシアの正当な領土となった」とするロシアの間には決定的な溝がある。56年の共同宣言では、国後島と択捉島の扱いは言及しておらず、両国の解釈がわかれる原因になっている。

Q 今後どうなるの?

安倍首相とプーチン氏の両首脳は18年11月に平和条約の交渉を加速させることで一致した。19年1月の首脳会談の前には、首相は「色丹、歯舞の二島引き渡し」に絞って交渉する考えとも報道されたが交渉の中身は明らかではない。首脳会談後の記者会見で両首脳とも「互いに受け入れ可能な解決策をめざす」と話したが、領土問題の進展についての具体的な言及はなかった。交渉の行方は見通せない。