政府は昨年12月21日、一般会計総額が過去最大の101兆4564億円となる2019年度予算案を閣議決定した。10月に予定される消費税増税で景気が落ち込まないように「臨時・特別の経費」2兆円超を計上、社会保障費や防衛費が過去最大となり、当初予算段階で初めて100兆円を超えた。

消費増税対策に2兆円

消費税増税対策では、キャッシュレス決済時のポイント還元制度や、購入額以上の買い物ができるプレミアム付きの商品券の発行が柱で、総額2兆280億円に上る。ポイント還元制度は、中小事業者が営む店でクレジットカードや電子マネーを使って買い物をすると最大5%のポイントがもらえる仕組みで、ポイント還元に充てるお金の一部などを国が負担する。

幼児教育の無償化も

年金や医療、介護などに充てる社会保障費は34兆587億円と、予算全体の3分の1を占める。幼児教育の無償化や所得が低い年金生活者への給付経費も含まれる。一方で、高齢化に伴う増加額は6千億円から4800億円弱に圧縮された。

借金新たに32兆円

予算の財源となる税収は、消費税増税に加えて景気回復で所得税や法人税が伸びることなどを想定し、過去最大の62兆4950億円を見込んでいる。しかし税収だけでは賄えないため、借金に当たる国債を新たに32兆6598億円発行する計画で、国と地方の長期債務残高は19年度末で計1122兆円に膨らむことになる。

政府は25年度中に黒字化する財政再建を目標に掲げている。だが、米中の貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱による混乱などを考えると、好業績を続けている自動車など輸出企業の先行きは不透明な部分も多く、税収見通しの根拠は強固ではない。これまでのような歳出の膨張が続く限り、目標達成は困難だ。

 

【memo】予算案  翌年4月から1年間の政策を実施するのに必要な経費をまとめたもの。各省庁が8月に提出する概算要求を基に財務省が査定し、通常12月下旬に閣議決定、年明けの通常国会で審議される。