気迫の表情で背面からの刀を受ける入澤君(中央)

朋優学院高校(東京)アトラクション部は、格闘や剣術の演武に取り組み、文化祭などでヒーローショーを行う、全国的にも珍しい文化部だ。部員たちは、映画の1シーンのような本格志向のアクション演技に磨きをかけている。 (文・写真 中田宗孝)

衣装や小道具は手作り

同部は、部員と外部コーチの共作によるヒーローショー、アクション演技なしの演劇など、校内外での年6回ほどの公演に向けて活動する。部員は、素手や刀でのアクション演技の腕を磨くアクター、公演用の衣装や小道具制作などを担うスタッフに分かれる。入部の際にどちらかを選び、専任で当たる。

ものづくりが好きでスタッフとして入部した宮﨑優奈さん(2年)は「私たちがアクターの衣装や武器を自作しています。変身ヒーローの仮面(マスク)なんて珍しい制作物もあり、とても楽しい」と話す。

小道具や衣装を作るスタッフを担う生徒たち

「余韻を残す」のがコツ

アクターは、格闘、殺陣、受け身などの練習に励み、アクションの技を磨いている。指導は、特撮テレビ番組「ウルトラマン」シリーズでスーツアクター(ヒーロースーツや着ぐるみを着て演技する人)を務めていた外部のコーチが行う。「演技の練習では、発声練習を基本に、プロの役者の演技を実際に自分たちで演じてみて演技力も高めています」(部長の入澤敬和君・2年)

取材日の活動は、校外公演に向けたゲネプロ(最終リハーサル)だった。今回の演目では、木刀や長い棒を使った剣術アクションの数々を披露する。木刀を構えた剣客に扮(ふん)した部員たちが、木刀を携える入澤君を取り囲む。コーチから「本身の刀(真剣)の重さを感じて芝居をする。表情で相手を斬る!」と、熱の入った指示が飛ぶ。皆、眼光鋭く、鬼気迫る表情をつくった。

勇ましい表情でアクションの練習をする生徒たち

「やぁ!」「ハァッ!」。次々と斬りかかってくるアクターを俊敏な刀さばきと立ち回りでいなしていく入澤君。アクターたちの動きに合わせて、音響担当のスタッフがサンプラー(音を再生する装置)を操作し、「キン!(刀と刀が打ち合う音)」「ブシュッ(刀で相手を斬った音)」といった効果音を響かせる。入澤君が肩から斜めに斬り下ろすけさ斬りを決めると、斬られたアクターは「ウッ……」と苦悶(くもん)の表情を浮かべて倒れ込んだ――。

入澤君はアクションを魅せるための心得を「大きく派手に動くこと」と語る。「そして、相手を斬った後、すぐに刀を収めず余韻を残す。アクション演技は、エンターテインメントであることを心にとどめています」

今年度行った文化祭でのヒーローショー
【部活データ】1984年創部。部員26人(3年生7人、2年生11人、1年生8人)。3年生は9月で引退。練習日は、アクターが週4日、スタッフが原則週2日。今年の文化祭では、恋に悩む高校生が正義のヒーローとして悪に立ち向かうヒーローショーを上演。