イボニシについて研究した北野歓君、阿部 光希さん、田中瑠璃さん(3月の関東近県 SSH合同発表会)

 

県立柏高校の北野歓君ら3人は2年生だった昨年度、「イボニシの二枚貝に対する穿孔場所」をテーマにSSHの研究に取り組んだ。

イボニシは、潮だまりに生息する肉食の巻き貝だ。北野君は「イボニシを水槽に入れたら、同じ水槽のほかの貝が全て食べられてしまった」と、興味を持ったきっかけを振り返る。

餌の貝を与えて実験

調べてみると、イボニシは餌となる二枚貝の殻に穴を開けて神経毒を注入し、殻を開かせて捕食すると知った。観察すると、捕食する前に餌となる貝の上を数時間から数日も歩き回り、穴を開ける場所を探しているように見えた。

そこで、貝殻の形が異なるアサリとムラサキイガイを餌として与え、イボニシが穴を開ける場所を選んでいるかを観察。捕食されたアサリ75匹、ムラサキイガイ48匹を分析すると、敵を反撃する時に使う足や固い靭帯の部分を避け、2枚の殻を閉じるために使う貝柱付近に集中していることが分かった。

さらに、足の部分とそれ以外に「欠け」を作ったアサリ25匹、ムラサキイガイ12匹でも観察。イボニシが穴を開ける際には、靭帯や足を避け、貝柱付近を選んでいると推察できたという。 (文・写真 山口佳子)