パリの分銅が基準だった

フランスのベルサイユで開かれた国際度量衡総会は、重さの単位「キログラム」の定義を130年ぶりに変更することを決めた。来年5月20日の世界計量記念日に合わせ、これまで基準となっていたキログラム原器を廃止し、物理学の定数を用いた計算方式にする。1キロの重さは変わらない。

重さ1キロは1889年以降、パリ郊外の国際度量衡局が保管する金属製の分銅である「原器」が基準とされ、各国に複製を配布し基準としてきた。原器は厳重に保管されているが、わずかな汚れや傷が付く恐れがある。極めて高い精度を求められる先端技術では致命的な誤差を生むため、基準変更が検討されてきた。

新定義には日本が貢献

新定義には日本の産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の貢献が大きかった。産総研は、原子が規則正しく並ぶシリコン球を原器に見立てて、重さと原子の数を詳しく計測。そこから求めた原子1個の重さに関係する「プランク定数」を高精度で割り出し、あらゆる物質で原子レベルから1キロを求められるようになった。

この定数を利用すれば、従来は難しかった極めて軽い物質の重さも求められ、原器の消耗による影響もない。

アンペアもモルも変更

今回の度量衡総会では、長さの「メートル」や時間の「秒」、光の強さを示す「カンデラ」など基本7単位のうち、キログラム、電流の「アンペア」、温度の「ケルビン」、物質量の「モル」の定義が変更された。