4年に1度の大統領選挙の中間年に実施される米国の中間選挙が行われた。トランプ大統領が率いる与党の共和党は上院で勝利したが、下院では野党の民主党が勝ち、8年ぶりに多数派を奪還した。2020年の大統領選で再選を目指すトランプ氏にとっては打撃だ。

中間選挙後に記者会見に臨むトランプ大統領( Al Drago - PoolGetty Images)

政策の停滞避けられず

民主党の下院選勝利は、政権に対する国民の反感が要因とされる。強硬な政策に反発する若者や女性を取り込んだ民主党の選挙戦略が功を奏した。

上下両院の支配党が異なる「ねじれ議会」となったことで、共和党は予算編成の主導権を失った。トランプ氏が掲げるメキシコ国境の壁建設や追加減税などの法整備、予算措置を必要とする政権公約の停滞は避けられない。

中間選挙の結果を受けて欧州連合(EU)欧州委員会のティメルマンス第1副委員長は「(有権者は)自分たちの価値観を守るために立ち上がった」と選挙結果を歓迎した。

 

北朝鮮と交渉進まず

非核化をめぐる米朝交渉についてトランプ氏は選挙後、「全く急いでいない」と語り、金正恩朝鮮労働党委員長との再会談への積極姿勢は影を潜めた。米側は非核化まで制裁圧力を維持する方針を変えておらず、北朝鮮側も核弾頭とミサイルの増産を続けているとされ、双方とも持久戦の構えだ。

一方、「貿易戦争」を抱える対中外交では、厳しく対処すべきだとの考えが党派を超えて共有されており、大きな政策変更の可能性は低いとみられている。米中間の対立解消の兆しはなさそうだ。

日本には強硬姿勢か

来年早々に新たな通商交渉(物品貿易協定)の協議を控える日本政府は、トランプ氏がいっそうの「米国第一」に傾いて交渉が困難になることを懸念。2年後の大統領選を念頭に、トランプ氏が大統領権限の及ぶ通商分野に狙いを定め、成果を上げるために強硬姿勢に出るとの観測もある。

【memo】米国の中間選挙   各州から2人ずつ選ばれる上院(定数100、任期6年)は約3分の1が改選され、今回は35議席が争われた。各州に人口比で議員数が割り当てられる下院(定数435、任期2年)は全員改選される。州知事選は36州で争われた。中間選挙は現職大統領に審判を下す場と位置付けられている。