ただ覚えるのはNG

地理とは、それぞれの地域の「地の利」を学ぶ学問だ。そのため、地形や気候などの特徴を踏まえた上で、「こんな条件がそろっている地域だから、この農作物が採れ、この産業が発展しているのではないか」と考えることが重要になる。

地名や用語をただ覚えるのではなく、「なぜそうなのか」を考えながら学習していくことを心掛けよう。

理由まで理解してメモを

授業中は先生の話を聞くことに集中し、「この産業が盛んなのは、こういう理由があるから」という理由もノートにメモしておこう。地図帳などを使うときは、先生が指定したページを探すことに気を取られると話を聞き逃してしまうことがあるので、授業中は「地図帳P.〇〇」とメモして話を聞くことに集中し、帰宅後に該当ページを見直すようにしてもよい。

家で復習するときは、まず何も見ないで、その日に習ったことを思い出せるだけ思い出してみよう。この「思い出す」という作業が「なぜそうなのか」「既習のどの部分と関連があるのか」を自分の頭で考える訓練になる。自力で思い出してから、忘れていた部分があればノートを見直しておこう。大きめの付箋にポイントをまとめて貼り付けておくと、知識を整理しやすくなり、テスト前に復習するときも役に立つ。

さまざまな角度で考える

近年、重視されている問題解決型の学習では、一つの問題に対してさまざまな角度から考えていく力が求められる。この力を身に付けるには、日頃から身の回りのことに「なぜ?」と疑問を持ち、自分なりに考えてみることが重要だ。

地理に苦手意識がある人は、近所のスーパーマーケットで野菜などの産地を調べ、「なぜ、ここで採れたものが店頭に並んでいるのか」を考えることから始めてみてもよいだろう。自分が住んでいる町の地名の由来を考えることも、地理を学ぶ上で重要な「なぜ?」という視点を身に付ける練習になる。地理は私たちの日常生活に根差した学問なので、日々の生活の中で感じる疑問を大切にしてほしい。(構成・安永美穂)

 
 
宇野仙先生(駿台予備学校 地理科講師)
うの・たける 慶應義塾大学商学部卒。大学で交通経済・公共経済を研究。会社員を経て、教員免許取得後、現職。「地理で得た知識を旅先で思い出すこともあるでしょう。一生付き合える科目です」