苦手科目の勉強を「やろう」と思っても手につかない……。脳科学に基づく勉強法や記憶術について、多数の著書を執筆している宇都出雅巳さんに解決法を聞いた。(安永美穂)

Q.「苦手科目の勉強をしなければ」と思うのですが、なかなか手を付ける気になれません…

 

A. 教科書の目次を見直すなど、「取りあえず」の感覚でできることから始めよう。

「苦手科目が手つかずのままだ」という不安を抱えたままでいると、その気持ちが脳のワーキングメモリ(短期的にとどめておける記憶)を占め、勉強に集中しにくくなってしまいます。人間の脳は、やり始めることでやる気が出る構造になっているので、まずは「取りあえず」という感覚でできることから始めてみましょう。

知識を定着させるには、「覚える」→「思い出す」→「忘れていたことをまた覚える」というサイクルを何度も繰り返すことが重要です。苦手科目を勉強する気になれないときは、テスト範囲の教科書の目次だけでも毎日見直すようにして、習ったことを思い出してみましょう。

目次は習ったことの「大きな枠組み」を示しているものです。これを繰り返し思い出すことで頭の中に入れておくと、試験範囲の全体像を把握できるようになります。そして、キッチンタイマーを用意して「取りあえず10分だけ」と短い時間を設定したり、「5ページ分だけ」と範囲を区切ったりして、勉強の敷居をできるだけ下げてみると、勉強に着手しやすくなるはずです。

「取りあえず」やり始めてみると、意外とやる気が出て、もっとやりたくなってくるものです。

 
宇都出雅巳さん
うつで・まさみ 東京大学経済学部卒。30年にわたり、心理学や記憶術を研究し、脳科学などに基づく独自の学習法を確立。「仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方」(クロスメディア・パブリッシング)など著書多数。