暗記しないといけないけれど、なかなか覚えられない……。脳科学に基づく勉強法や記憶術について、多数の著書を執筆している宇都出雅巳さんにスムーズに暗記できる方法を聞いた。(安永美穂)

Q. 暗記をスムーズに進めるコツは?

 

A. 視覚的なイメージと結びつけて覚え、繰り返し思い出そう。

「場所」にまつわる記憶は、頭に残りやすいです。暗記をするときは「教科書のあの辺りに書いてあった」「ノートの右上の赤線の囲みの中に書いたことだ」というように、視覚的なイメージと結びつけて覚えると記憶に残りやすくなります。

教科書にポイントを書き込んだり、必要に応じて図やイラスト、シールなどを用いたりして、思い出すときに「あのページのあの部分書いてあったな…」ということがパッと頭に思い浮かぶような工夫をしてみましょう。

また、人間の脳は覚えたことを忘れることによって情報を整理しています。知識を定着させるには、繰り返し取り組むことで「これは重要なことなのだ」と脳に認識させる必要があります。そのためには、単語集を暗記するのであれば、最初から順に一度で覚えようとするのではなく、覚えられないことがあってもよいので何度も繰り返すことが大切です。

教科書や参考書は読むだけで覚えたつもりになるのではなく、必ず「思い出す」練習をしておきましょう。まずは目次や太字になっているところを見て大枠をざっくりとつかみ、それぞれのポイントを思い出せるかどうかを確認していくと、記憶に残りやすくなります。

 
宇都出雅巳さん
うつで・まさみ 東京大学経済学部卒。30年にわたり、心理学や記憶術を研究し、脳科学などに基づく独自の学習法を確立。「仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方」(クロスメディア・パブリッシング)など著書多数。